給湯器・床暖房・空調/給湯器・給湯システム

エコキュートの仕組みや機能&知っておきたい選び方の注意点

エコキュートの仕組みや、価格や電気代、補助金などを確認。暮らしに欠かせない給湯システムには、ガスや石油、電気など、熱源によって分けられますが、電気を熱源とするシステムには、エコキュートと電気温水器が挙げられます。ここでは、主流であるエコキュートについて、プランニングの前に知っておきたい基礎知識をまとめました。

岩間 光佐子

執筆者:岩間 光佐子

住まいの設備ガイド

給湯器(給湯システム)は暮らしに欠かせない重要な機器

日々の暮らしに欠かせないお湯を生み出す給湯器(給湯システム)。キッチンやバスルームなどの水まわりの給湯はもとより、プランニングによっては、床暖房やミストサウナなどに関わる場合もあります。給湯器には、ガスや電気、石油などの熱源などによって、いくつかのタイプがあり、最近では、さまざまなシステムの機器がみられます。選ぶ際には、家族構成やライフスタイル、間取りや関係する設備機器など、トータルに検討することが大切でしょう。
残り湯の熱を貯湯ユニットに回収して再利用する機能、浴槽内に微細な泡を発生させる機能、ふろ配管を自動洗浄する機能などを搭載したエコキュート。 [三菱エコキュート「Pシリーズ」] 三菱電機

残り湯の熱を貯湯ユニットに回収して再利用する機能、浴槽内に微細な泡を発生させる機能、ふろ配管を自動洗浄する機能などを搭載したエコキュート。 [三菱エコキュート「Pシリーズ」] 三菱電機


【目次】
1.エコキュートとエコジョーズの違いとは?
2.エコキュートの仕組み
3.エコキュートと電気温水器の違い
4.エコキュートの省エネ性能や使い勝手
5.床暖房や太陽光発電とエコキュートの連携
6.エコキュートのタイプ。薄型やコンパクト、高圧タイプも揃う
7.エコキュートの注意点とは?
8.エコキュートの本体価格や工事費
9.エコキュートの補助金制度
10.エコキュートでは騒音などにも配慮
 

電気を熱源とするエコキュート、ガスを熱源とするエコジョーズ

エコキュートは、電気を熱源とした給湯器システム。他に、従来より用いられている電気温水器もありますが、電気を用いる給湯器の主流はエコキュートでしょう。

名称が似ているエコジョーズは、高効率ガス給湯器のこと。ガスを熱源とした給湯器です。その他、ガス発電・給湯暖房システムであるエコウィル、家庭用燃料電池のエネファームなどもガスを熱源としたシステムです。また、石油を用いる商品としては、排熱を再利用することで、熱効率を向上させたエコフィールがあります。
多様化する電気料金プランへ対応するとともに、よく使う機能に絞った「シンプル画面」を搭載し、さらに使いやすくなったリモコンも。[家庭用自然冷媒(CO2)ヒートポンプ給湯機「エコキュート」 JPシリーズ]undefined パナソニック エコソリューションズundefinedhttp://sumai.panasonic.jp/

多様化する電気料金プランへ対応するとともに、よく使う機能に絞った「シンプル画面」を搭載。[家庭用自然冷媒(CO2)ヒートポンプ給湯機「エコキュート」 JPシリーズ]  パナソニック
 

エコキュートは空気の熱でお湯を沸かす

エコキュートとは、「自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯機」のこと。環境に配慮し、再生可能な空気の熱を利用して、効率よくお湯を沸かす給湯システムです。 エコキュートという名称は商品名ではなく、電力会社や給湯機器メーカーが「自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯機」を総称する愛称として用いているもの。カタログなどを見るとわかるように、さまざまなメーカーの商品についている名称です。

 
左のヒートポンプユニットが屋外の空気から熱を集め、その熱をお湯のわき上げに活用、右の貯湯タンクユニットにお湯を貯める。[エコキュートの概念図] 三菱電機

        左のヒートポンプユニットが屋外の空気から熱を集め、その熱をお湯のわき上げに活用、
        右の貯湯タンクユニットにお湯を貯める。[エコキュートの概念図] 
        三菱電機

 

主な特徴は、コンプレッサーで大気の熱を汲み上げ、給湯の熱エネルギーをつくるヒートポンプシステムなので、使用する電気エネルギーに対して約3倍の熱エ ネルギーを得ることができること。ヒートポンプシステムの冷媒としては、従来のフロン系ではなく、自然界に存在するCO2(二酸化炭素)を使用するため、オゾン層破壊や温暖化ガス排出の抑制につながること。また、昼間よりも割安な夜間電力を使用し、効率的なヒートポンプシステムと組みあわせることでランニ ングコストを低減できること、などが挙げられます。
 

エコキュートは電気温水器とは仕組みが大きく異なる

同じ電気を熱源とする電気温水器は、主に電気ヒーターでお湯を沸かし、一日に使用するお湯を貯湯タンク本体に蓄えておくものですが、エコキュートは前述のとおり、ヒートポンプシステムによって大気中の熱を汲み上げ、給湯に必要な熱エネルギーとして利用するシステム。形状は、ヒートポンプユニットと貯湯タンクユニットのふたつからなります。同じ貯湯式の給湯システムですが、仕組みは全く異なるものです。

ただ、電気温水器もエコキュートも、災害等、万が一の際、貯湯タンクにお湯が残っていれば、生活用水としての利用することができるのは、共通メリットと言えるでしょう。
 

今のエコキュートは省エネ性能や使い勝手がアップ

[浴室リモコン] [台所リモコン]undefined リモコンの「メニュー画面」を、よく使用する機能のみが表示される「シンプル画面」に切り替えることが可能に。設定後は、シンプルな画面で簡単に操作することができ、使い勝手もアップ。 [家庭用自然冷媒(CO2)ヒートポンプ給湯機「エコキュート」 JP・Jシリーズundefined浴室リモコン(左)undefined台所リモコン(右)]undefined パナソニック エコソリューションズundefinedhttp://sumai.panasonic.jp/

       リモコンの「メニュー画面」を、よく使用する機能のみが表示される「シンプル画面」に
       切り替えることが可能。 [家庭用自然冷媒(CO2)ヒートポンプ給湯機「エコキュート」
        JP・Jシリーズ(左)浴室リモコン (右)台所リモコン]  パナソニック 


エコキュートはもちろん、住宅用の給湯システムは、いずれも省エネルギー性能や使い勝手がますます高まってきています。各メーカーのエコキュートをみても、ヒートポンプユニットの熱交換器の高効率化を図るなどして、省エネルギー性能を向上させているのが最近の傾向と言えるでしょう。

エコキュートには、学習機能が付いており、それぞれの家庭のライフスタイルにあった湯量を過去の使用量などから判断し、必要な量だけを沸き上げる機能などが付いていますし、使用湯量の目標値などをリモコン表示することで省エネルギーへの意識を高める機能などもみられます。上手に設定することで、無駄を減らし、より省エネルギー効果を高めることも可能です。

また、使い勝手に関しても、フルオートタイプ、セミオートタイプ、給湯専用も揃っているので、ライフスタイルに合わせて選ぶことができるでしょう。幼いお子さんや高齢の方の入浴時でも安心な双方向会話機能や音声ガイダンス、誰もが使いやすいユニバーサルデザインの浴室リモコンやキッチンリモコンなど、細かな工夫も施されています。誤操作を防止するチャイルドロックを搭載したタイプもあります。

その他、微細なマイクロバブルを発生させ心地よい入浴が得られるもの、パワーのあるシャワーを楽しめるもの、ふろ配管を自動洗浄する機能を持たせたタイプもみられます。
 

床暖房や太陽光発電とエコキュートが連携することも

三菱HEMSとの接続による太陽光発電システムとの連携運転なども。[三菱エコキュート「Sシリーズ」] 三菱電機

三菱HEMSとの接続による太陽光発電システムとの連携運転なども。[三菱エコキュート「Sシリーズ」] 三菱電機

給湯やお湯はり以外に、床暖房と連動するタイプもありますし、電気設備や家電と同様に、ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)とつなげること ができるタイプ、太陽光発電システムと連携することができるものもみられます。また、電力小売全面自由化に対応し、多様な電気料金プランに合わせて自動調整する機能を持ったタイプも。さまざまな機能を持つタイプが増えているので、選ぶ際には、給湯システム単体だけでなく、住まい全体のプランニング、必要な機能を考慮することが大切でしょう。
 

エコキュートの種類。薄型やコンパクトなタイプ、高圧タイプも揃う

商品としてのエコキュートには、スタンダードなタイプのほか、薄型やコンパクトタイプ、背の低いタイプ、集合住宅用なども揃っていますし、3階にバスルー ムを設置する場合などに適する、パワフルなシャワーが可能な高圧タイプや水道直圧タイプなども。また、錆や潮風に強い塩害タイプや低外気温でも作動可能な寒冷地タイプなど、エリアごとの特性に合わせたタイプがあるので、地域に適したタイプから選ぶようにしましょう。貯湯タンクの設置に関しては各メーカーともに耐震強度を高めています。
敷地条件に合わせて、プランニングが可能な薄型タイプのエコキュート。 [三菱エコキュート 薄型] 三菱電機

敷地条件に合わせて、プランニングが可能な薄型タイプのエコキュート。 [三菱エコキュート 薄型] 三菱電機

 

エコキュートではタンクの容量に注意を。家族構成に合わせて

新築やリフォームの場合であれば、設計担当者などから提案されたタイプから選ぶケースが多いでしょう。確認する際に、特に注意したいのはタンクの容量。家族構成やライフスタイルに合わせて選ぶことがポイントです。おおまかな目安としては、2~3人家族であれば300リットル、3~5人であれば370リットル、4~6人であれば460リットル程度でしょう。

また、リフォームの場合、敷地内にヒートポンプユニットと貯湯タンクユニットの設置スペースが取れるかどうかも確認しておきたいもの。いずれにしても、専門的な部分や不安に思うことは、早めに設計担当者に相談することが大切でしょう。
貯湯ユニットのスリム化で従来置けなかった狭いスペースにも設置可能。狭小地、集合住宅でも設置可能な幅44cm・奥行56cm。 [コンパクト エコキュート フルオート195L]undefined パナソニック エコソリューションズundefinedhttp://sumai.panasonic.jp/

貯湯ユニットのスリム化で従来置けなかった狭いスペースにも設置可能。 [コンパクト エコキュート フルオート195L]  パナソニック 

 

エコキュートの本体価格は70~100万円程度。工事費を含めて見積もりをチェック

タンクの容量や機能によって異なりますが、エコキュートの本体価格は、工事費等別で70~100万円台程度。容量が大きく、多機能になるほど価格はアップします。電気温水器と比べれば割高ですが、高い給湯効率と割安な夜間電力などを組み合わせることにより、電気代は従来の電気温水器の約3割ほどになる (地域・電気料金契約により異なる)というデータもあります。また、エコキュートの設置に対して、必ず工事費を含めて見積もりをチェックすることが大切です。
 

自治体の補助金制度なども確認を

地方自治体によっては補助金制度を設けているところもあります。検討する際には、補助金制度の有無、条件、申請期間、補助金額など、事前に確認するようにしましょう。
 

エコキュートのプランニングは騒音などにも配慮して

エコキュートのヒートポンプユニットの運転音は、エアコンの室外機程度と言われていますが、深夜に作動するため、密集地などの場合には設置場所には充分な検討を。周辺環境を考慮し、特に隣家の寝室や居室の近くは避けるなど、プランニングに十分に配慮することも重要です。


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