iPodとの相性 (音質)
まず驚くのが、手の平に乗るほどの小さな「MC4」からは想像できない、パワフルな音。正直なところ、高さが100cmもあるトールボーイタイプのスピーカー「Oli3」と組み合わせると、「パワー不足でスカスカの音がするのでは?」と思っていたのですが、低音の迫力も、ヴォーカルの余裕も充分で、実に気持ちよく聴けます。筆者手持ちのiPhone、MC4、OLi3を組み合わせた音を、もう少し詳しくレポートしましょう。低音は、空気感が漂う力強さを備えつつ、締まりがあってキレがよく、バネと芯が感じられ、ドラムやベースの弾むようなリズム感が楽しめます。おおらかなアメリカンタイプとは対照的で、ヨーロッパや日本人好みと言えそうです。
中域から高域も艶があって魅力的で、特にギターのピッキングや倍音の余韻がリアル。エレキギター(ギブソンのレスポール)を嗜む筆者鴻池は、嬉しくなって高中正義、イーグルス、エリック・クラプトンなど、一通り聴きまくってしまいました! 後から知ったのですが、Roth Audioの技術陣は、ギターアンプに長年携わっているそうで、納得が行きました。
ヴォーカルは、ダイアナ・クラールやジェニファー・ウォーンズなど、優秀録音で知られるタイトルで試聴。少し窮屈に感じたり、中域がひっこむ印象もありますが、アンプとスピーカーの価格を考えれば充分なパフォーマンスで問題とはならないでしょう。むしろ、伸びと艶が素晴らしく、真空管らしい暖か味に魅力を感じます。
その他、いろんなジャンルの音楽を聴いてみたのですが、電子音で作りこまれたYMOでは、音が遠くから迫って頭の中を通過したりする立体感が緻密に再現され、位相特性の精密さが印象的でした(音にズレが無いとお考え頂ければ良いでしょう)。
反面、HiFi的な性格が、ソースの悪さもつつみ隠さずに出してしまう点には、覚悟が必要です。録音状態の悪いポップスなどは、ラジカセだとそれなりに欠点がカバーされて聴けたりしますが、今回の組み合わせでは、1分と聴いていられませんでした。HiFiは、聴き手やソースを選ぶのが難点ですが、上手く付き合って、良い音が鳴った時の感動は大きいですので、諦めずにチャレンジしてみてください!
その他、外観や機能など
デザイン面でも、「MC4」の特徴は、何と言っても真空管です。真空管が放つオレンジ色の光には、オーディオファンのみならず、インテリアとしても美しく、誰もが憧れる事でしょう。「MC4」では、明るい部屋でも、その「真空管的」雰囲気が楽しめるよう、演出として、真空管やロゴを、さらにオレンジ色の光でライトアップしています。
本体やツマミ類はアルミ素材で仕上げも良く、価格に見合った高級感が感じられます。真空管の保護カバーは、透明のアクリル製で、真空管が良く見えます。スピーカー端子は、ワンタッチで接続可能なバナナプラグに対応していて、両端がバナナプラグ化されたスピーカーケーブルも付属しています。
組み合わせにOLiスピーカーを選べば、こちらもバナナプラグに対応しているので、スピーカーケーブルの接続は、初心者でも簡単なはずです。この点でも、iPodユーザーや、HiFi初心者に考慮された製品と言えます。