寒冷・多雪地域の建物において、地域性を忘れた建物は非常に危険であり、かつ建物本来の機能まで殺してしまう恐れがあります。
一般に日本で寒冷地に該当する地域は北海道・東北地方の他、北陸・中部地方、近畿・中国地方の内陸部と四国、九州の山岳部も含まれています。これらの中でも特に北海道の気象条件は厳しいものがあります。雪国で特に注意しなければならないのは、主に次の6項目です。
1)雪害
2)凍害
3)凍結
4)凍上
5)すがもり
6)結露
まず1)の雪害で、家を建てる際にチェックしておきたい項目として
・玄関、勝手口など建物出入口上部の落雪対策
・隣地や道路に対する落雪の防止
・歩道、車道の動線計画
・屋根の形状
・積雪に対する床の高さ
・風による吹き溜まりや積雪状況の検討
などがあげられます。
従って北国の家はコンパクトな建物形状と大きな屋根勾配に特徴があります。もちろん深い基礎や熱損失を防止するための3重サッシ、更に玄関ドアが2枚だったり、断熱材も天井200ミリ、壁・床100ミリ以上は入れるなど、気密性を高める工夫がいたるところにあるのです。
また、意外と盲点なのは軒先の破壊です。屋根の素材は金属系の長尺鉄板等が多いのですが、少なくとも2.5/10以上の勾配をとり、雪がスムーズに落下するようにしておくことです。時には雪の重さで軒先が破壊することさえあります。