田舎暮らし/週末田舎暮らし・週末住宅

田舎と都会暮しを両立させる人々(2ページ目)

自分らしく暮らしたいという、パーソナルな願望が高まる中、都市と田舎にそれぞれ住まいを確保して暮らすマルチハビテーションをする人が増加中。今回はマルハビ実践のためのコツと心得を、体験談を通してご紹介。

堀江 康敬

執筆者:堀江 康敬

田舎暮らしガイド

同居を夢見て、しばらく我慢の遠距離婚のススメ

「やっぱり、この子のためにも親子で田舎に帰ろう。」

長女が誕生した時、M夫妻(共に当時29歳)の生活スタイルに対する考えが激変しました。夫婦共に地方の田舎の出身者。子供の顔を見るたびに、故郷の風景や懐かしい人々の顔が思い浮かんできたそうです。

二人共、都会大好き人間。アーバンライフの実践者でした。しかし現在は、自分の故郷でペンションを経営しています。

実は、M夫婦は3年間程の期間限定のマルハビを体験されています。

妻:「私が先発隊として、まず両親が住む島に引っ越したんです。長女の面倒を見てもらいながらペンション用の土地探し、経理ノウハウの勉強、料理メニューのアイディアなどをゼロから始めました。現実問題として別居ですよね。当初は不安でしたが、目標がしっかり決まっていたので島での生活に張りがでてきたんですよ」

夫:「僕の方は都会での仕事を続けながら生活費の確保です。職場の方も雰囲気が良くて数年は頑張れると思ったんです。その間に、設計家との建物イメージづくりと設計、調理技術などを勉強しようと。3年間はちょっと長かったかもしれません。でも離れているからこそ、お互いに信頼感を持ち感謝し合えたと思っています。」

月3~4回程、島で街での打合せを続けて、3年後に別居生活が終了しました。

動けるところから始めてみる。現在の仕事を何らかの形で移住先にも活かす。田舎で通用する技術を身に付ける・・・焦らず、確実に。M氏夫妻はマルハビを活用することで、見事に田舎暮しを実現しました。

2002年、M氏は島の町議会議員としてデビュー!新しい夢を見つけたようです。

都市に住む人々のマルハビに対するニーズ

*「平日は都会で休日は田舎で」を志向するのは13大都市で50%を超え、世代別だと40歳代が44%と希望が高い。
*マルハビを始める時期としては、子育て終了後、定年後に希望が集中。今すぐにでも始めたいとする比率は13大都市で17%、15万人以上都市で12%。
*強いログハウスや一戸建て志向。ただし、空き農家の活用や、ホテル等の旅行者用施設・コテージ等の滞在施設利用の可能性も。
*マルハビ実行のための条件として、年間費用(居住・滞在費と交通費)は、50~100万円までとする希望者が大半。但し、13大都市では500万円程度までとする希望者も高い比率。

しかし、マルハビを阻害するものとして以下のような要因も上がっています。
*経済的・時間的制約が大きく、田舎の生活環境や利便性を不安に感じる。
*田舎生活については、就業の場、保健医療、買い物等の利便性等への不安が大きい。

また、田舎の不動産物件を取り扱う業者のアンケート調査によると・・・
*田舎物件購入目的では27%が「即定住」であり、「将来定住」は35%、「週末利用(マルハビに相当)」18%。
*40代で土地だけ購入あるいは週末利用という人は、将来の定住を見込んでおり、マルハビは将来の定住を目指した一時的なものと考える人が8割程度とのことです。

*参考データ/マルチハビテーションに対する国民意識の把握(平成15年度調査・総務省)他

街の仕事と田舎の楽しみを使い分けるSさん、 田舎で起業に挑戦するTさん、家族のために田舎を選んだM夫妻。彼らはそれぞれに、しっかりとした「テーマ」を持ってマルハビを実践しています。

自由に自発的に自分の生活スタイルを選び、都市と田舎を双方向にネットワークする新・田舎暮らしのカタチ、マルハビ。
あなたの「テーマ」は何ですか?

*マルハビについてもっと詳しく知りたい人は
  • 仕事とスローライフを両立させる、新・田舎暮らしとは?
  • 複数の住居からスタートする田園生活
    *マルハビの実践者を訪ねたい人は
  • マルチハビテーションの勧め/田舎先発隊型
  • マルチハビテーションの勧め/宴会ステージ型
  • マルチハビテーションの勧め/特別編:ヒロ爺、今日も空を飛ぶ。
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