住宅を購入する立場の買主が、不動産業者同士の争いに巻き込まれて右往左往することがないように気をつけたいものですね。
中古の一戸建て、もしくは土地を購入しようと思って物件を探していたのですが、少々困った事態になってしまいました。どうすれば良いのでしょうか? というのも、物件の紹介をいくつかの不動産会社に依頼していたのですが、A社から案内された中古一戸建てを気に入り、試算などもしてもらい近日中に
買付証明書を出そうという段階になっていました。そこへB社から連絡があり「いい物件があるから」と説得されて休日に車で案内されたのですが、そこで見せられた3つめの物件がA社のものと同じでした(空家のため、売主には会っていません)。そのためB社の人には「A社から案内されて検討中だから」と伝えたのですが、「だったら手数料を安くするから当社で契約してくれ」と言われ、その場では断ることができませんでした。その後にA社とB社との間でどのようなやり取りがあったのか分かりませんが、どうやら言い争いをしているようで、両方から「当社で契約してくれ」と言われるばかりです。
(千葉県市川市 匿名 女性)
「どうすれば良いのか?」と聞かれても、最終的にはどちらかを断るか、その物件を諦めて両方とも断るしか選択の余地はないのですが、こんな回答だけで終わってしまっては身もふたもありませんね。少し詳しく状況を分析してみましょう。
不動産業者の勝手な言い分に振り回されて、困るのは買主!
まず、売主からの売却依頼を
不動産業者が受ける場合には、専属専任
媒介契約、専任媒介契約、一般媒介契約のいずれかを締結します。
このうち専属専任媒介契約と専任媒介契約は、1社しか引き受けることができないものであり、いったん締結された媒介契約を後から別の不動産業者が強引に解約させて自社のものにしようとする行為(抜き)は、厳しく諌められています。
ただし、法律違反というよりも不動産業者間の倫理規定違反であり、これを繰り返す悪質な業者もいるでしょう。しかし、複数の不動産業者に依頼することのできる一般媒介契約なら、必ずしも「抜き」とは言えない面もあります。
それはともかくとして、不動産業界内のモラルとして禁止されている「抜き」行為が、買主の購入契約に対しては曖昧なままなのが現状であり、別の業者を出し抜こうとしてあれこれと策を練る業者がいることも否定できません。
買主にとって直接には関係がない部分でありながら、そのような不動産業者同士の争いに巻き込まれてイヤな思いをするのは、結局のところ買主です。それでは、このような事態を避けるためにどうすれば良いのでしょうか?
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