建築家・設計事務所/建築家住宅の実例

谷内田章夫さんの「PASSAGGIO」見学記 これぞデザイナ

谷内田章夫/ワークショップのデザイナーズマンション「PASSAGGIO」の見学に行ってきた。都心のマンションとしては少し変わった地域に開放された集合住宅。

執筆者:坂本 徹也

これぞデザイナーズマンション第5弾!
きみは「PASSAGGIO」を見たか?



「PASSAGGIO」は都心のマンションとしては、ちょっと変わった造りに なっています。というのも、ここは地域に開放した通路が建物の中央を 貫通しているという開かれた集合住宅となっているんですね。
全体的には、2つの棟が中庭を隔てて建つという形になっていますが、 南側の棟の脇を通って北側の棟のど真ん中を通路が突き抜けています。 地域の住人たちはここを通って北側の街並みに行けるということです。 とかく閉鎖的で外からの干渉を遮断しがちな都心の住宅地にあって、 これは外に向かって開かれた、新しい集合集宅の発想なのかもしれません。

 

こういう造りですから、オートロックの出入り口は3箇所に分かれていて、 南棟の入口は中庭に面した通り沿いに、北棟の入口はパブリックな通路を 隔てての2箇所に設けられています。ですからひとつの集合住宅なのですが、 1箇所から入って振り分けられていくというのではなく、それぞれの 生活空間にはそれぞれの入口からアプローチするという形になります。 その意味では、独立タイプの長屋が上に積み重なったといってもいいかもしれません。そのあたりもちょっとユニークですよね。

 

中は約40平米のメゾネットタイプが14ユニット、フラットタイプが4ユニット となっていて、そのほとんどが高い吹き抜けを持つメゾネットです。 壁はすっきりとコンクリート打ちっ放し、7戸がらせん階段、7戸がふつうの階段を使ってロフトのような2階へ上がる形になっています。デザイナーズ マンションの定番となった感のあるらせん階段は、どうしても高齢者には 敬遠されがちですが、ここではふつうの階段も選べるので幅広い層を 吸収できそうです。また、このマンションは開口部がかなり広く取ってあり、 ガラス張りになっているので、1層階のリビングからもロフトからも外が 広く望め、なかなか気持ちのいい眺めになっています。

そして、特徴的なのはリビングの床。全戸がタイル張りになっていて、 無機質になりがちな打ちっ放しのコンクリートにちょっとしたあたたかみを 添えています。「居住者のライフスタイルにフレキシブルに対応した」との ことですが、機能性を突き詰めたデザイナーズマンションには住んでみたい けど、あまり素っ気ないのは嫌だなという人にはちょうどいいお洒落感と いえそうです。デザイナーズマンション=今風のDINKSという概念から 少し脱皮して、これからは家族で住めるデザイナーズマンションというのも けっこう出てくるような予感を感じさせる「PASSAGGIO」でした。

 

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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