建築家・設計事務所/建築家住宅の実例

谷内田章夫/ワークショップの集合住宅「ilusa」 これぞデ

谷内田章夫/ワークショップが駿河台に建てた集合住宅「ilusa」を見ました。中央に大きな円形の吹き抜けを持つその建物は、まるで井戸の底に住んでいるかのような錯覚を起こさせます。

執筆者:坂本 徹也

まるで井戸の底にいるような集合住宅「ilusa」


その地上6階の集合住宅「ilusa」は、靖国通りからちょっと入った場所にあります。
1階はお洒落な店舗、2階からが住宅ということです。
まずは1階の中央にある細長い廊下を通って内部へと入っていくと、そこはこの建物の中心を貫く巨大な円形の吹き抜けになっています。上部はそのまま空に通じてますから、廊下には雨よけのガラスが張ってあり、そのまま渡り廊下になりエレベーターホールへと行くことができます。
建物には機械室などの地下がありますので、この渡り廊下は中空に浮かんだ形になっています。地下には中央に水場(排水用か?)があって、暗くてひんやりとした、ヨーロッパの寺院の地下などを思い起こさせます。


 

この巨大な吹き抜けを囲む形で、各階には円形の廊下がありますが、途中階のこのテラス風の廊下から吹き抜けを望むと、そこはまるで井戸の底にいるような気分。
たしか中国の古い住宅建築に、一族何十人が住んでいるこんな形の家があったように記憶していますが、何よりもここには外界から隔絶されたような妙な安心感があります。いわゆる「守られている」っていう感じ?
ここに住む人々は、夏の夜ふけなどにこの暗い穴を見下ろしながら、静かに思索にふけるのでしょうか。

 

住居空間はというと、2~3階は各階に約45~50平米の部屋が6戸ずつ、4~6階はメゾネットを組み合わせての約65~83平米の部屋が7戸用意されています。
室内は谷内田章夫さんの作品らしく、2階層分を貫く大きな開口部と、可動式の家具 で仕切をつくるような自由空間が特徴で、ちょっとお洒落な都会派のDINKS向きといっ た感じ。例によって、コンクリート打ちっ放しの壁面と、リビングを見下ろす形の隠 れ家的なロフトも「お約束」のように付いてきます。住人それぞれが、独自の感性で 選んだインテリアがどんな室内を形づくっていくか興味津々ですね。

それにしても、見学を終えて一歩外に出ると、やはりインパクトのあるのが この大きな吹き抜けの「穴」。ここを通じて、住人どうしが顔を合わせるうち、 行き来が生まれてコミュニティが出来上がっていくのでしょう。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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