建築家・設計事務所/建築家住宅の実例

デザイナーズ建売り住宅を見る 建売り住宅にも自由設計の波

デザイナーズマンションが人気だが、こちらはデザイナーズ建売り住宅。尾山台の住宅(設計:千葉学建築計画事務所)と、弦巻ツインズ(設計:田井幹夫/アーキテクトカフェ)の2軒をレポート。

執筆者:坂本 徹也

建て主の要望を反映してつくる建売りは
明日の都市住宅への回答か!?



千葉学さんの「尾山台の住宅」は、尾山台に自邸を建てた建て主さんが残った土地に、 同じ設計者でつくった建て売り住宅ということです。
なるほどこれなら2軒の家が同じテイストのデザインとなり、軒をすり合わせるようにして建っていても、まったく違和感がないということですね。
2つの住宅は外壁が同じシルバーメタリックのガリバリウム鋼板で、狭小地に建つ意欲的なモダン建築という感じです。
今回見せていただいた建売り住宅は、奥まった場所に位置しているのですが、一見手前の建て主さんの自邸と一連なりの二世帯住宅にも見えなくもありません。

 

玄関を入るとすぐに吹き抜けのあるリビング。右手奥にはキッチンがあります。この キッチンがいわばボックスのように室内に配置されていて、その天井がリビング側か らも見える仕掛けになっています。
ちょっとした容れ子構造のおもしろさですね。階段はこのキッチンのボックスの天井を踊り場がわりにする形で設えられており、リビングの大空間に表情を持たせています。
階段部やキッチンのボックスに黒く塗られた木を使い、真っ白な壁とのコントラストを演出しているところもなかなかいい。

踊り場からは逆にリビングの大空間が見えますが、なにか写真の撮影スタジオを思わ せる雰囲気があります。
ここはここで「使える」場所かもしれません。ちょっとしたワークスペースとか、ビデオプロジェクターの置き場所とかですね。階段を上がると、白いベッドルームと天窓を持つバスルーム。ここは白すぎて眩しい感じもしますが、生活用品が入っていけばうまく調和していくのでしょう。
文字通り、住み手が自分色に染め上げていくという意味で、生活に必要な最小限空間(間取り)と白という組み合わせは、設計者である千葉さんからのメッセージなのでした。

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