新旧のデザインを組み合わせて調和させた
日本の上流階級の洋風邸宅はみごとの一言!



三菱グループの創始者である岩崎久弥氏の私邸として建てられた旧岩崎邸は、日本に洋風建築の暁光をもたらしたジョサイア・コンドル氏の手になるものだそうです。ジョサイア・コンドルといえば、鹿鳴館やニコライ堂も設計した人。その門下生には東京駅を設計した辰野金吾氏などがいます。日本で初めて設計事務所というものを開いた人でもありました。
 

 

小高い丘の上に建つ旧岩崎邸は、シュロの木立のある前庭が特徴。この木立をぐるりと回るようにして玄関を入ります。玄関のトビラにはステンドグラス、高い天井のポーチを抜けるといきなり暖炉があります。寒い日に訪れた人が、入った瞬間に暖をとれるようにとの配慮でしょうか。
この家の暖炉は何種類もあって、デザインがみんな違うとか。建築家コンドルはすぐれたインテリアデザイナーでもあったことは疑いありません。聞けば玄関の床に貼られたイスラム風の幾何学模様のタイルも、すべてコンドル氏の手になるものだそうです。
 

 

ただ、この照明の弱さはどうだ---。ほの暗い廊下を行くと、視界が広がる階段室に出ます。ここにも大きな暖炉、遠い国から来た客たちはここでグラスを片手に暖まりながらディナー前のひとときを過ごしたのでしょうか。暖炉の上には鏡がありますが、これは明かり取り用だとか。階段室にある大きな開口部から、奥まった暖炉の上に明かりを導きたかったということです。
 

それにしても、柱といい、天井といい、暖炉を囲む壁面といい、あちこちに施された彫刻がすごい! 建築というよりも木彫りの固まりのようにも見えてきます。
 

 

この階段室の右手には、重厚なデスクを入り口に向けて配置した書斎が、そしてその横には別棟の撞球室をのぞむサンルームがありました。サンルームはそのまま廊下となり、トスカーナ式の列柱の並ぶベランダに出ることができます。1階のベランダは床がサラセン風のタイル、異国情緒満点です。このベランダに面した明るい部屋が食堂とその続き部屋というわけですね。