コーポラティブハウスが東京の街を
変えていくかもしれない。
コーポラティブハウスのプロデュース会社・アーキネットが桜新町に建てた「桜新町ロウハウス」の一室を見せてもらいました。2002年5月に完成した「桜新町ロウハウス」は、4世帯が入居する長屋形式・4階建ての小規模コーポラティブハウスです。
敷地は私道を入った、いわゆる旗竿地なのですが、南は某大手企業の駐車場に面していて完全に開かれています。なので南面は、サッシをパズルのように組み合わせた全面開口部となっており、外から見るとかなり開放的な印象になっています。この開口部があるのは、各戸とも天井高3.6メートルの大リビングと、その上のもうひとつの部屋という形ですね。
建物の構成としては、中央を貫く階段室が固定されていて、それをはさむ形で南側と北側にスペースが分かれ、部屋が順繰りに配置されていく格好になっています。
スケルトンの設計を担当したネオタイド建築計画の後藤泰夫さんは言います。
「お子さんがいるお宅のケースも想定して、だいたい3つぐらい部屋数を取れるようにしました。リビングとキッチンとバスルームは、位置的にだいたい固定して設定しています。だけど実際に始まってみると、みなさん不思議なくらいバラバラになるんですよね」
部屋を見せていただいた石田さん宅は、これを次のような形で使われています。
1階に予備室としても使える収納。2階は南にリビング、北にダイニングキッチン。3階の北側にバスルーム(南は2層分がリビング)を持ってきて、最上階は寝室にしました。バスルームにはトップライトがあり、それは屋上テラスに通じます。これはまったく、建て主の自由。たとえばリビングの奥のスペースに水回りをすべて持ってきて、あとはすべて個室にして使うことだってできるわけです。
石田さん夫婦はイタリア調のモダンなインテリアに興味があったので、イタリアで修行をしたことのある橋爪さんに依頼することにしたそうです。石田さん夫婦は、ともにIT関係の会社につとめる共働きの世帯。訪ねてくる人もそう多くないことから、比較的ゆったりと各部屋を使うことができたわけです。
「基本設計の提案の中では、リビングの北側にキッチンとバスルームが来てたんですけど、キッチンにはもう少し広さが欲しいという気持ちがあったのでキッチンだけにして、バスルームはその上階にしてもらいました。いまのところは2人なのでスペース的にはそれで十分。逆にいえば最初から100%のものをめざすんじゃなくて、住み始めてから自分たちで考えて新しいものに変えてくこともできるでしょうし、だから最初はなるべく簡単につくっておこうと話しあいました」(石田さん)