「これぞデザイナーズマンション11」の「P's FLAT AZAMINO」見学記でもご紹介している荘司毅さん(荘司建築設計室)が設計した上北沢の家を見ました。京王線桜上水駅から左右にのどかな野菜畑を見ながら歩くこと10分、それは建て売り住宅群の中にひとり、異質な建築物として在りました。

建築面積12坪の小住宅

 
玄関から隣家の庭まで建物を貫く土間は、風と光の通り道

上北沢の家は、コンクリートパネルの壁と、風の抜け道であるルーバーで構成されたシンプルな表情をしています。それは真新しい建て売りが並ぶ住宅地の中にあって、ちょっとだけ異質。飾り気がなくシンプルなだけでなく、静かな主張を放っているように見えます。建築面積が12坪という狭小住宅ですから、外に向かってコミュニケートするのではなく、中に住む人のプライベートな時間を第一に考えた形ということができるでしょう。

「和」のコンセプトが生きる

靴を脱いで和室に上がる、離れに来た気分

中に入ると、そこは土間。これはずっと先まで伸びて建物を貫通し、南側の隣家の庭と接するところまで続いています。その途中に2階への階段、それはどこか懐かしい光景。そう、古い日本家屋に立ち寄ったときの感じです。この家には、内部でありながら部屋の“外”でもある路地が存在しているということですね。
それにしても、風が南北にさわやかに吹き抜けて気持ちがいい!今年のような暑い夏を迎えると、本当に古来の日本家屋に込められた「知恵」がいかに大切なものかがわかります。1階の部屋は、この土間に沿って3つに分割され、入り口から順に浴室、和室(客間)、主寝室がほぼ均等に並んでいます。

内部に向かって開放する

気分を晴れやかにするような天井の高さ

視線が南側に抜けるよう板を渡しただけの階段を上がると2階です。1階への光の導入を考慮して階段部分が吹き抜けになっているため、2階のフロアは形が少し歪(いびつ)ですが、広がりは十分! ご家族は夫婦2人ということなので、思いきり気持ちよく住めそうです。

外の風景は隣家の樹木のみ、これでけっこう開放的

一室空間なので間取り的なものはありませんが、上がってすぐがリビング、折り返して北側にキッチン+ダイニングとなっています。開口部はハイサイドライトが中心で外に向けては広く取らず、内側つまり1階土間側に向けて開いています。

ダイニングの窓からは、ルーバーを通して外の気配がうかがえる

土間は1階の通路として機能し、風の抜け道、光の導入路としても機能しているということですね。2階のリビング側からロフトへの吹き抜け感もなかなかいい。ここにも「和」空間を意識した造りが感じられます。

 
ダイニングから見た土間と吹き抜け、右はロフトからの見下ろし

小さなDENとデッキテラスのある贅沢

思わず寝ころびたくなるウッドデッキのテラス

2階の上にはロフト。天井が低いので納戸としてつくられたようですが、寝ころんで読書に興じるDEN、あるいは子どもができた場合の寝室など、多目的に使うことも可能だと思います。ここからは小さいながらも気持ちがいいデッキテラスに出ることができます。日光浴にはもってこいだし、ガーデニングが好きな人なら、たちどころに季節の花やハーブなどで埋め尽くしてしまいそう。

もうひとつ特徴的なのは、全体的に共通しているのが素材のシンプルさ。床は無垢のメイプル、壁天井には「素地のケイカル板」が使われています。ローコスト対応という荘司さんの話ですが、こういう空間には贅沢な素材は似合いません。飾り気なくシンプルに、おおらかな気分で生きていこうというメッセージが込められているような1軒でした。

設計監理:荘司建築設計室/荘司毅
施 工 :安斉工務店

敷地面積:101.79m2
構造規模:木造2階建て+ロフト
建築面積:39.74m2
建ぺい率:39.74%〈 40%
延床面積:74.49m2
容積率 :74.47%〈 80%

 「P's FLAT AZAMINO」見学記はこちら!



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