LEDにも、向き不向きがある

2004年に私たちが初めてLEDを照明として使ったオール電化住宅「テレスコープハウス」。常夜灯として軒下の小さなダウンライトに使いました。当時のLED照明は指向性がとても強く、真下の地面の、ごく一部しか明るくなっていないことが分かります。
良いところばかりのようなLEDですが、実際に照明器具として使用する場合は、いくつか覚えておいた方が良い特徴があり、これが時に短所にもなります。
その一つは「指向性が強い」こと。指向性とは、光が真っ直ぐに進む性質のことです。言い方を変えると、一般的にLEDは「まわりを全体的に明るくする」ことにはあまり向かないのです。

例えば、よくLEDが用いられている、信号機や車のブレーキランプを想像して下さい。ブレーキランプは、後ろの車から見ると眩しいくらい明るいけれども、決して道路全体が明るくなったりはしません。
一方、昔からある白熱電球は電球の中心にあるフィラメントが発光し、その明るさは、どの方向から見てもほとんど同じです。いわゆる「裸電球」をぶら下げると部屋全体が明るくなるのは、そのためです。裸電球のままでは具合が悪いことが多いので、器具や電球そのものに、さまざまな反射板(リフレクター)を取付け、照らしたい方向に具合よく光が届くような工夫がされています。
蛍光灯は(原理は省略しますが)細長い蛍光管全体が光ります。光る部分の大きさが違うので、白熱電球ほど眩しく感じませんが、これも周辺全体を明るく照らせる照明器具なのです。

扉そのものを「照明」に。
私たちの2005年の経験

以前のLED照明器具は、こうした短所(指向性が強く、全般照明に向かないこと)があったため、実際に使用するかどうかためらわれる場合が多かったのですが、私たちは2005年に完成した「UNWALL」という集合住宅での経験を期に、LEDの可能性を感じるようになりました。

集合住宅「UNWALL」。玄関扉の真上にLEDを埋め込み、扉自体を照明器具にすることに成功
「UNWALL」では、玄関扉の真上に細長いLED照明を埋め込みました。「光の広がりが少なく、遠くまで届く」というLEDの性質を利用し、白く塗装した扉に上から光をあて「扉自体を照明器具にする」ことを考えたのです。これは、良い結果をもたらしました。
普通、集合住宅の共用廊下に照明器具が並ぶ風景は、どうしてもよそよそしさを感じさせるものですが、「UNWALL」では、夜、家に帰ってきた住人を明るく光るドアが出迎えます。消費電力の極めて少ないLEDなので、共用部の電気代が抑えられ、定期的なランプ交換といったメンテナンスも不要となりました。
当時、LED照明器具自体のコストは高価でしたが、それを補って余りある結果となりました。

さて、ここまでLED照明を見て、どのような印象を持たれたでしょうか?
白熱電球や蛍光灯の照明器具と違い、普通の住まいの明かりには、まだ適さないと感じたかもしれません。
確かに、LED自体の光に指向性が強いことは今でも変わりがないのですが、今年に入って照明メーカー各社は器具としての光の広げ方をさまざまな方法で実現し、部屋全体を照らす全般照明として充分に使える製品も生み出されています。近い将来、住まいの明かりの多くがLEDに置き換わることは、恐らく間違いないでしょう。
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