アスペクト比について
「アスペクト比」というのは、画面の縦横比のことをいいます。現行のテレビ放送(SD)では、4:3というアスペクト比が利用されていますが、ハイビジョンでは16:9というアスペクト比を利用しています。これによって、窓を覗いているような感じのSDに比べて、16:9は人間の視野に近いといわれ、実際に外で景色を眺めているような臨場感を楽しめるのです。
▲4:3の映像 |
▲16:9の映像 こちらの方が臨場感がある。 |
▲双方には、これくらいの差がある。 |
ビデオカメラ用のHDV規格
最近では、手ごろな価格のハイビジョンカメラが登場して話題を集めていますが、こうしたビデオカメラで採用されているハイビジョン規格が、「HDV規格」です。HDV規格というのは、DV規格のカセットテープに、HDの映像と音声を記録・再生するための映像規格で、2003年9月、国内4社のビデオカメラメーカーを中心に策定されました。
HDV規格を策定した企業 |
キヤノン株式会社 シャープ株式会社 ソニー株式会社 日本ビクター株式会社 |
■映像の圧縮はMEPG-2を利用
デジタルビデオカメラで普通に利用されているmini DVテープにハイビジョン映像の記録/再生ができるというのが、HDV規格の最大の特徴です。そして、映像の圧縮には「MPEG-2形式」、音声の記録には「MPEG-1 Audio Layer II」という、規格的には音楽CDと同等の音質での形式を利用しています。
▲mini DVテープにハイビジョン映像を記録する。 |
ここで、HDV規格の概要を表にして掲載しておきます。
HDV 規格
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DV規格
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映像 | |||
フォーマット | HDV 720p | HDV 1080i | DV |
ビデオ信号/ フレームレート |
720/60p 720/30p 720/50p(PAL) 720/25p(PAL) |
1080/60i、
1080/50i |
480/60i |
画素数 | 1280×720 | 1440×1080 | 720×480 |
アスペクト比 | 16:9 | 4:3 (16:9) | |
圧縮方法 | MPEG-2 Video形式 (プロファイル&レベル:MP@H-14) |
DV形式 | |
輝度サンプリング周波数 | 74.25MHz | 55.7MHz | 13.5 MHz |
量子化ビット数 | 8ビット | 8ビット | |
圧縮後ビットレート | 約19Mbps | 約25Mbps | 約25Mbps |
音声 | |||
MPEG-1 Audio LayerII | 非圧縮リニアPCM | ||
サンプリング周波数 | 48kHz | ||
量子化ビット数 | 16bit | 48kHz -16bit - 1chステレオ、
32kHz -12bit - 2chステレオ |
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ビットレート | 384kbps | 約1.5Mbps | |
音声モード | ステレオ | ステレオ×1 ステレオ×2 |
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【2つの記録フォーマット】
HDV規格では、2種類の映像記録用フォーマットがあります。1つは、ちらつきの少ない「HDV 720p」というプログレッシブ方式を利用したフォーマットで、もう1つが「HDV 1080i」というインターレース方式を利用したフォーマットです。両者の違いは、上記の説明でおわかりですね。
たとえば、2005.7.7に発売されたばかりのソニーの「HDR-HC1」や、同じくソニーの「HDR-FX1」はHDV 1080iを利用し、日本ビクターの「GR-HD1」はHDV 720pを利用しています。
【映像を圧縮するMPEG-2形式について】
映像を圧縮するコーデックの「MPEG-2形式」ですが、これはDVD-Videoの作成などで利用されるMPEG-2形式と同じです。ただし、MPEG-2形式にはさまざまなバリエーションがあり、「プロファイル&レベル」というフレームサイズや圧縮に関する区分で分けると、DVD-VideoのMPEG-2は「MPEG2 MP@ML」というタイプで、HDVでは「MP@H-14」というタイプになります。
【ビデオ信号とフレームレートについて】
表の「ビデオ信号/フレームレート」では、走査線数と1秒間のフレーム数が表示されています。動画は複数の静止画(これを「フレーム」と呼ぶ)を高速に切り替えて表示することで動きを表現しています。このとき、1秒間に何枚のフレームを表示するかということを「フレームレート」といい、単位は「fps」(frame per second)を利用しています。
たとえば、「720/60p」というと、有効走査線数が720本でフレームレートは60fpsのプログレッシブ方式という意味になります。
720 / 60p ↑ ↑ 走査線 フレームレート |
【フレームサイズと画素数について】
HDVとDVとのフレームサイズを比べると、DVは720×480、HDV 720pは1280×720、HDV 1080iは1440×1080というフレームサイズになります。フレームサイズは大きいほど高精細になるので、サイズ的にいえば、HDV 720pよりHDV 1080iの方が高精細ということになります。
以上、ハイビジョンについての基礎知識をご紹介してきましたが、高画質で臨場感のある映像を楽しむための規格が「ハイビジョン」なのです。