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退職金・企業年金に期待しつつ自助努力も考える工夫(2ページ目)

老後資金準備について考える「30代からの将来設計」入門シリーズです。今回は「退職金や企業年金をどれだけアテにして老後資金準備を考えればよいか」という話をします。退職金や企業年金がもらえない可能性はあるものの、100%期待しない老後資金準備もなかなか大変なものなのです。

山崎 俊輔

執筆者:山崎 俊輔

企業年金・401kガイド

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退職金や企業年金にまったく頼らないのも非現実的

前のページで「退職金や企業年金に依存しない」と言ったものの、「退職金や企業年金はまったくアテにしない」という老後資金準備計画は非現実的です。そうした老後資金準備を行いたい場合、金融機関にとってはいいお客様かもしれませんが、おそらく皆さんの生活は老後のために現在の生活を犠牲にすることになるでしょう。
(これは「公的年金に100%頼らない準備」を検討する場合にも同じことがいえます。公的年金にまったく依存しない老後資金準備を考えると目標額は1億円前後にもなるでしょう。これはあまりにも非現実的です)

ざっくり考えてみて、老後の生活費は月額27.5万円程度(年金生活の夫婦。総務省 家計調査年報平成20年から)、同調査では年金等の受け取りを約20.1万円としており、企業年金や個人年金等の収入が約2.7万円、取り崩しが約4.9万円となっています。公的年金で不足する7.4万円を老後の期間(約20年)で概算すれば、1776万円が必要ということになります。

2000~3000万円を老後資金準備のひとつの目標と考え、可能な限りの上積みを目指していくのが計画の建て方の基本と言えるでしょう。このとき、自営業者は上積みをもっと考えたほうがいいでしょう(厚生年金が受けられないため)。
そして、「退職金や企業年金に全面的に依存しない」準備方法を考えていけばいいわけです。例えば、半分を自分でため、半分を退職金や企業年金に頼る、というのはどうでしょうか。

自助努力の老後資金準備、いくつかのアプローチ

自分の資産から老後資金準備をする方法として、できれば税制上の優遇のある制度を使いたいものです。いくつかの制度をご紹介します。
なじみのある制度としては「年金財形」があります。財形制度を会社が行っている場合、自動天引きの形式で、老後資金準備ができます。課税後に積み立てられるものの、積み立てた資産の利息は非課税になります。残高550万円までしか非課税になりませんが、老後の柱のひとつとしてコツコツ積立をしてみたい制度です。

確定拠出年金の個人型に入れる人はこれを利用するのもよいでしょう。企業年金のない会社の会社員は年額27.6万円、自営業者は年間81.6万円まで非課税で積立が行え、運用益も非課税になります。

自営業者については国民年金基金(年間81.6万円まで)、小規模企業共済(年間84万円まで)といった制度もありますので(小規模企業共済は中小企業の経営者も加入できる)、検討してみてください。こちらも掛金について所得税の軽減があります。

興味深いのは2012年以降に予定されている少額投資非課税措置(日本版ISA)です。これは年額100万円までの投資について10年間まで配当や売却益を非課税にするものです。40歳代から50歳代におけるリスク資産運用の選択肢として考えてもいいでしょう(詳細は今後各社から行われる情報を参考にしてください)。

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老後資産準備については、自助努力と国や会社に期待する部分のバランスで考えていくことが大切です。このテーマについては今後もまた分かりやすい解説をしていきたいと思います。
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