退職金や企業年金に100%依存はできない
近年、企業の業績悪化に伴い退職金や企業年金を減額する、あるいは制度を廃止するといったニュースが散見されます。ニュースを見ていると「退職金や企業年金はアテにならないのではないか」という疑問がわいてくると思います。実際のところどうなのでしょうか。確かに、退職金や企業年金は会社あってこそ制度が維持され、もらえるものですから、会社が倒産したり、給与の支払いにも支障が出るような状態では、必ずしも保全されるものではありません。それは事実です。
退職金ではなく企業年金制度であった場合、そこに積み立てられている資産については会社と切り離されて保全されていますので、受け取りゼロということはありませんが、それでも企業の破綻時には全額受け取ることは難しいと思われます(積立不足がある場合など)。
また、会社が倒産にならない場合にも、まだ退職前の社員(現役世代)について給付水準を引き下げたり、OBの年金支払い水準を引き下げることで、制度の存続を図ることもあります。制度がなくなるよりはよいものの、もらえる金額が下がることには変わりありません。
私たちの世代においては、退職金や企業年金についてお任せ気分でいることは禁物です。親の世代であれば、「仕事に専念していれば、老後のお金は会社が準備してくれるから考えなくてもいい」という発想でよかったかもしれませんが、それで安心できる時代ではありません。
現在、制度の運営状況(積立不足等)がどうなっているか、会社の行く末と制度の安定性はどうか、など常に問題意識をもってチェックし続けることが大切です(それ以前に、どのような制度があって、どれくらいの給付が期待できる制度なのかを知ることも大切です)
それでは退職金や企業年金とつきあいつつ、老後資金準備に自助努力も考え合わせる方法について考えてみます。