大正時代に断絶した皇族の有栖川宮の後継者を名乗って結婚披露宴を行い、ご祝儀を騙し取るという事件が発生。連日、ワイドショーを賑わせています。なんでもこの披露宴、4月6日に赤坂のイベントホールで行われたそう。当初は、会場はカナダ大使館の地下のシティクラブ・オブ・東京という報道もあったのですが、イベントホールというからこの報道は間違いなんですかね。まあ、シティクラブ・オブ・東京では立食で250名くらいが限度だと思うので、出席者400名のパーティは無理ですよね。
被害金額は約1300万円のご祝儀と絵画とのこと。ご祝儀を出した人は約360人ということですから、1名あたり約3万6000円となります。著名人や元政治家なども出席したといい、そのような人たちは10万円くらいは包んだと予想されますので、多くの人たちは2~3万円のご祝儀ということですよね。一部の報道によると、妃殿下を詐称していた坂本晴美容疑者は「ご祝儀は1名10万円は固いわ」と豪語していたようです。著名人らの大盤振る舞いを期待していたのでしょうが、思惑通りにはいかなかったようで……。
問題は結婚披露宴で儲けようとしていたというところです。披露宴をすれば確かにご祝儀は集まりますが、そのぶん、会場費や料理、装花、引出物、衣裳などにお金がかかりますから、ボロ儲けというわけにはいかないんですよね。詐欺をするのであれば、結婚披露宴はあまり賢い方法とはいえないと思います(苦笑)。テレビのインタビューで晴美容疑者が答えていたなかで、「ご祝儀はほとんどが披露宴の費用に使われて、私たちには80万円くらいしか入っていない。ほとんど赤字だ」と不満そうに語っていたのですが、結婚披露宴ってもともとそういうもんじゃないですか? このコメントを聞いただけでも、「この人、うさんくさいな~」と思わずにはいられません。
普通の感覚を持っている人なら、結婚披露宴で儲けようなんて思わないでしょう。結果的に、黒字になってしまったというカップルはいますが、最初から黒字を出そうと思って結婚披露宴を計画する人はいないはずです。はっきりとしたデータは出ていないのでなんともいえませんが、私がいままで取材を続けてきた感覚では、結婚式のご祝儀と結婚式費用(あくまでも結婚式だけの費用。新生活や新婚旅行などの費用は含まない)との関係で、赤字になったカップルと黒字になったカップルの割合は6対4くらいではないかと思います。それに黒字といっても十数万円から数十万円の単位ですし、黒字分もほとんどのカップルが新生活や新婚旅行の費用の足しにしているようです。
さて、ここで実際のご祝儀の相場を見てみましょう。ゼクシィの調査によれば、ゲスト別の平均額は友人・同僚が2.7万円、上司3.5万円、親族6万円、恩師3.3万円とのこと。親戚以外の人で3万円か5万円、親戚で5万円か10万円というのが相場ではないでしょうか。一方、結婚式費用の平均額は首都圏平均だと263,2万円となります(ゼクシィ調べ)。招待客が70名でもご祝儀は250万円くらいだと思いますので、収支としてはだいたいトントンなんですよね。
「私たち、お金がないから結婚式できないんです」という若いカップルに対しては、「お金がなくてもご祝儀もらえるから、それを見込めて計画すれば結婚式できるよ」と教えてはいますが、最初からご祝儀をあてにするというのはやはり考えものだと私は思います。結婚式はあくまでもふたりがいままでお世話になった方々をお招きし、結婚を報告するとともにいままでのお礼と今後のさらなる親密なおつき合いをお願いする場であり、ふたりが招待客をおもてなしするというスタンスであるべきでしょう。
そうしたふたりのために招待客は「こちらこそこれからもよろしく。今後はふたりで頑張ってね」という気持ちを込めてご祝儀を贈るのですから。ご祝儀で儲けような~んて思っちゃ、ゆめゆめイカンです。結果的に黒字になっちゃうのはOKだけどね♪
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。