第1回は、ボク一番のスペシャリテ、「豚肩ロースの一夜漬けロティ」。
素材の力を引き出す肉の焼き方
ボクは「基本的には」、塊のまま肉にストレスをかけずに低温で焼くのがいいと思っているのですが、低温とは言っても、単にオーブンの温度を低めに設定して焼くスタイルはあまり好きではありません。それはあくまでもオーブンの力であり、誰が焼いても同じように仕上げられるからです(均一なロゼに焼くだけだったらこの手法で誰でもできます)。
しかも、一定の温度でゆっくりと火を入れると、味わいもおとなしいなぁとボクは感じてしまうのです。「おとなしい」というのは、その肉の持つポテンシャルが前面に出てこないということであって、何も繊細な味がいけないと言っているわけではありません。
ピュアな印象は残しつつも、素材自身の力をもっと前面に押し出す方法は他にあるということです。ボクの肉の焼き方(豚肉)は、フライパンしか使いません。1~1.2kgの豚肉を冷蔵庫から出して常温に戻し、脂もひかずに冷たいフライパン(フッ素樹脂加工)の上にのせます(肉に塩は一切振りません)。