洋菓子界において群を抜く存在!
「チーズ・ケーク・シトロネ」(600円)。レモン風味のチーズケーキ(レアタイプ)です。 |
パッションやショウガの香りが潜む「エレディア」(650円)。 |
「一幸庵」のつぶ餡を使った「ドーム・抹茶・あずき」(750円)。 |
まずはこれ!
「シュー ア ラ クレーム」のパータ・シューはしっかりと焼き込んだタイプです。最初に感じる適度な歯応えとしなやかなコシによって、その存在感がしっかりと焼きつけられたかと思えば、その直後には一転して、ふわっとした軽さが浮上。ストレートな粉の旨み(強烈なものではなく、しみじみとした旨み)を口いっぱいに広げてくれます。また、蓋の部分には軽くパート・シュクレ(ほんのり甘いビスケット生地)を被せて焼き上げてあるので、そのサクッとした食感が、生地の存在感を高めるための補佐的役割をさり気なく演じてくれています。中にたっぷりと詰められている艶のあるクレーム・パティシエールは、まずその香りに圧倒されます。口に含むと、ほぼ同時に心をくすぐるたまごとヴァニラの香りがぷわ~っ。脳に直接訴えかける、といってもいいくらい、一瞬にして魅了されてしまいます。その風味を追いかけてくるのが、芯のある甘みとコク、そしてしっかりと炊き込んでいるからこそ実感できる粉の風味&旨みです。特に粉の風味と旨みには圧巻! 舌にネットリとまとわりつくその粘りの強さを目の当たりにすれば、誰もが納得できるはず。クレームだけ舐めても旨みを感じられる、こんなクレームは極めて稀ですね。
この両者が口の中で渾然となると、香りにズキュン! 旨みにズキュン! その存在感にズキュン! もうたまらないったりゃありゃしません。生地は濃厚なクレームをしっかりと受け止める、というか適度に吸収し、極上の口溶け感を生み出します。そして同時に、両者に潜む異なる旨みが複雑に交錯することで、より豊かな音色が奏でられるわけです。
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