鉄道/観光・イベント列車

冬の名物列車、東北・三陸鉄道の「こたつ列車」(3ページ目)

三陸鉄道の「こたつ列車」は、走り始めてまだ数年だが、すっかり冬の風物詩になった。列車のユニークさもさることながら、乗車前から「食」のサービスが始まり、車内でも「食」のもてなしがある。のみならず、乗客をあっといわせる愉快で暖かいサービス精神は、旅の思い出として忘れがたいものとなる。なかなか訪れない場所ではあるが、だからこそ良き日本の伝統文化を体験できる列車とも言えよう。

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

「こたつ列車」の車内

座席の真下に下駄箱があり、通路はワゴンが通れるよう脱ぎ捨ては厳禁だ

座席の真下に下駄箱があり、通路はワゴンが通れるよう脱ぎ捨ては厳禁だ

「こたつ列車」はディーゼルカー2両編成だが、先頭の青い車両のみがこたつ付きのお座敷車両だ。後ろの車両は普通の座席車で地元の利用客向け。本数が少ないローカル線ならではの編成だ。

車両中央の通路を挟んでこたつがずらりと並んでいる。履物は、こたつ下にある下駄箱に入れる。通路は車内販売のワゴンが度々通るので、靴を脱ぎっぱなしにするのは厳禁だ。ワゴンは飲食物やお土産、三陸鉄道グッズを販売している。

三陸鉄道名物「赤字せんべい」

三陸鉄道名物「赤字せんべい」

面白いのは「三鉄赤字せんべい」。赤字を食って、儲かる鉄道にしようとの願いが込められているようだ。通信販売もしているので、少しでも買って三陸鉄道の売り上げ増加に貢献してあげよう。

 

絶景ポイントでサービス停車

安家川橋梁では徐行のあと停止して絶景を堪能させてくれる

安家川橋梁では徐行のあと停止して絶景を堪能させてくれる

三陸鉄道は1984年の開業と比較的新しい鉄道なので、ローカル線といっても設備は近代的で、新幹線のように長いトンネルも多い。三陸特有のリアス式海岸の絶景をとことん眺められるわけではなく、トンネルとトンネルの間で垣間見るといった感じである。

それゆえ、絶景を見逃さないようにと、絶景ポイントとなる海の見える鉄橋上での徐行、一旦停車が2回ある。親切なことに車内でのアナウンスもあるので見逃すことはあるまい。野田玉川と堀内間の安家川橋梁および堀内と白井海岸間にある大沢橋梁だが、三陸鉄道のポスターなどで有名な場所である。
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