床上手は女の武器になる?
現在、大ヒット上映中の『さくらん』は、ベルリン国際映画祭にも正式に招待された話題作だ。©2007 蜷川組「さくらん」フィルム・コミッティ |
惚れられるも地獄
色がなければ生きてもゆけぬ……
江戸時代の吉原遊廓を舞台に女の“愛と性”をリアルに描いてヒット中の映画『さくらん』の劇中のセリフのひとつだ。
惚れるのも惚れられるのも、本気であればあるほどに地獄の苦しみを伴うものだけれど、それでも結局、女は色、つまり、恋愛がなくては生きては行けない--。
たしかにその通りだと思う。愛する家族や信頼できる友人に囲まれ、仕事が順調でも、“おひとりさま”でプライベートを楽しむ術をどれほど覚えたとしても“完全な幸福感”は得られない。ひとりでは存在すらも虚ろってしまう。女ってそういう生き物だ。
そんな女の生き方、女の根幹を成す“愛と性”についてディープにヴィヴィットに描ききったのが、本作だ。監督は今や世界的に注目を浴びるフォトグラファー、蜷川実花。原作は安野モヨコ、音楽は椎名林檎、主演は土屋アンナと女子のカリスマが集結。
まるで夢のように鮮やかで美しい映像は、恋愛本能を無条件に刺激するし、その物語やセリフは今の女性にも通じるリアルがある。観ていると、さまざまなことを感じ、考えさせられ、教えられる。いわば、女子のための恋愛映画だ。
物語は、吉原の遊廓に生きる3人の花魁を愛と生きざまを軸に進んでいく。遊廓ゆえに女が美しく見える大胆な愛の戯れシーンも多く、そこには「床の中での手練手管」もふんだんに盛り込まれている。中でも、主役のきよ葉(土屋アンナ)の初夜のシーンは印象的。みずみずしい恥じらいの中にも、床上手の片鱗が見える。
声は出すんじゃねぇ もらすんだ
石橋蓮二演じる楼主のセリフなのだけれど、一緒に映画を観た男子は、「その通り!」とヒザを打っていた。SEXの最中は、喘ぎ声を大げさにあげるよりも、吐息をもらすくらいでいい。そのほうがグッとくるのは昔も今も変わらない日本男児の本能らしい。恋愛上手は床上手であることを痛切に感じつつも、ふと疑問が浮かんだ。
それは……
床上手--セックスは女の武器になるのか? ということ。
その答は、次のページで!