絶品の釜めし

釜飯にはあまり興味がなかった。その理由は、あの混ぜご飯のような中途半端なたたずまい、確固とした主張をしない具の姿、おかずもなくただメシを頬張るという作業。下手な店に入れば、スーパーで売っている着色したような汁漬けの山菜が散りばめられていたり、五目に塩ジャケが入っていたりと、釜飯の悲しい思い出を語ったらキリがない。そもそも、いい店に出会ってなかったということなのだ。
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ほんのり桜色の「タコ釜めし」いい塩梅の味付け、歯応えよし。

浅草寺の裏手、言問通りの横丁にある「釜めし むつみ」に巡り合ってそんな思いも払拭された。 客層は観光客、地元の家族連れ、商売人、ご隠居衆 、おば様方、初老のカップルでいつも賑っている。
お勧めは「たこ釜めし」、これがうまい。 タコはその日あがった新鮮なものを使用し、 注文してからの待ち時間は 20 分ほど。釜飯の蓋をはずせば、湯気とともにタコの香りが鼻先をかすめ、ほんのり桜に色づいたご飯が姿を現す。タコの身というよりは吸盤が具の主役で、一口ほおばれば、タコのうまみが十二分に染み込んだご飯、柔らかにしてコリコリとした歯触りの吸盤が実に心地よいのだ。