ビールって料理に似ているなぁ、とよく思います。たとえばカレーライス。一見シンプルで、使う材料も大差はないはずなのに、レシピや作り手次第で出来上がるカレーの味わいはバラエティ豊か。タイカレーやインドカレーとなると、全く違った料理のよう。

ビールも、原料はいたってシンプルですが、出来上がるビールの風味は実にさまざま。ぱっと見た目にはわからないビールの原料ですが、原料についてあらためて知ってみると、素材の味が生かされていることや、何が風味に影響しているのかがわかり、ビールの世界が広がっていきます。

今回はビールの原料についてご紹介します。

4つの基本原料、そして副原料

ビールの基本原料は「大麦麦芽ホップ酵母」の4つ。基本原料のみで造られたビールの他に、その国の事情や食文化などを反映した原料が一緒に使われているビールもたくさんあり、基本原料以外の原料はまとめて「副原料」と呼ばれています。

ビールの色や風味を決める麦芽(モルト)

ビールの色の違い
ビールの色は使用する麦芽によって異なる
大麦、小麦、ライ麦、オート麦などに大別される麦類ですが、ビールの主原料で「麦芽」という場合、大麦の麦芽のことを指しています。

「麦芽」とは文字通り、「麦」を「発芽」させたもの。「麦」と「麦芽」では含まれる成分が異なるため、そのまま使用するのか、麦芽(モルト)にして使用するのか、区別します。原材料の表記で区別されていますので、今度ちらっと確認してみてくださいね。

麦芽と一口に言っても、その種類は数十種類に及びます。それぞれ、色、風味、役割が異なり、ビールの色、基本的な風味アルコール度数などは、使用する麦芽によって決まります。そして、使用する麦芽を選ぶだけでなく、麦芽の使用量を変えたり、異なる種類の麦芽を組み合わせたり、組み合わせる麦芽の比率を調整することによって、さっぱりしたビール、ドライなビール、モルトの味がしっかりとするビール、スモーキーな風味のするビール、どっしりとしたビール、アルコール度の高いビールなどなど、さまざまな特徴のビールが作り出されます。

ホップによる苦み・香り

ホップ
ホップには雄株と雌株がある。ビールの原料となるのは雌花。
ビール特有の苦み香りホップによるもの。ホップとは蔓(つる)性の、毬(まり)花とも呼ばれる植物。ホップの産地は世界中に広く分布し、産地や品種によってそれぞれ特徴があります。どのホップを使用するかはもちろん、ホップの使用量やホップを投入するタイミングによっても、ホップの風味の度合いは異なります。

ビール会社・醸造所や商品のサイトによっては、どこで採れたホップを使用しているのか、書かれていますので、気になった場合はチェックしてみてくださいね。

ビールの90%以上を占める水

水
飲料に適した水であることは大前提
ビールの90%以上を占める水の成分は、ビールの風味に大きく影響します。水の成分を研究する仕事があるように、非常に複雑なのが水に含まれるミネラル成分です。ビール醸造では、水とビールの関係を考慮しながら水が仕込まれています。大雑把な分類では、すっきり系のビールには軟水、味わい系のビールには硬水が向いていると言われています。


酵母の働きでアルコールに変化

どの酵母を使用するのかは、ビールの風味に非常に大きく影響します。人工的に加えるビール酵母は、その性質によってラガー酵母とエール酵母に大別されていますが、2つの中から選べばよいという単純なものではなく、何百種類もある酵母の中から、酵母の特徴と性質を理解して、造るビールのスタイル、使用する原料、発酵温度を考慮して、適切な酵母が選ばれています。

身近な例でたとえると、酵母の働きは、私達人間の社会の営みのようなもの。それぞれ性格も個性も能力も異なる私達が人間社会で毎日生きているように、酵母も麦汁の中でそれぞれの個性を発揮してビールを造り出しているのです。


次のページでは、その国の事情や文化、食文化を反映している「副原料」について見ていきます。