一番人気は「丸パン」
粉花のパンは、オーガニックレーズンを使って発酵させる酵母、北海道産の小麦粉やライ麦などから作られます。オーガニック素材が多いのは、よりよい味を求めて素材を吟味していくうちに、自然にたどりついた結果だそう。
「素材そのものがおいしいので、その力をいかせるように手助けしながらパンを作ります」
姉妹から「かわいい!」と声をかけられてのびやかに育ち、古い木枠のショーケースに並べられたパンの数々。いずれも、粉そのものの風味がふんわりと香りたちます。
中でも人気が高く、予約するファンも多いのが「丸パン」。粉花のパンは基本的に酵母と塩、水、小麦粉だけで作られますが、丸パンはそこによつ葉の無塩バターと、鹿児島の南に浮かぶ珊瑚礁の島・喜界島のきび糖を加えています。
「喜界島のきび糖は、海の香りがする砂糖。袋を開けると、ふわっと磯の香りがして、粒がきらきらしているんです」
そんな言葉を聞いただけでも、パンを手で半分に割って、鼻を近づけたときの幸福感が想像できるでしょう? 私は丸パンを含めて何種類も購入して帰り、その夜のうちに全部食べてしまいました。
パンはいのちでできている
藤岡さん姉妹にとって、パンとは「いのちそのもの」。酵母という生きもの、小麦という生きものたちから作られる生命の結晶がパンなのだと思います、と真由美さん。
「パンを作っているとき、生命を感じるんです。自然界のいのちをいただいている感じがするんですね」
開店までの小さな物語
粉花が誕生するまでの物語は、短いけれどちょっと不思議です。併設のカフェのテーブルについて、トーストセットをいただきながらお話をうかがいました。