大テーブルの愉しみ
円形のシーリングライトやずっしりと重たい鉄の脚をつけた大テーブルはオーナーがデザインしたオリジナル。私は常時注文する料理も多め、テーブルの上にひろげるものも多めなので、このような大テーブルがもっとも快適に過ごせます。逆に小さなテーブルでは落ちつかないことが多く、このつくりは嬉しい限りです。
オーナーの念頭にあったイメージのひとつは、ニューヨークのエスニック・レストラン「REPUBLIC(リパブリック)」の店内の光景。活気に満ちたカフェテリアのような大テーブルに、カップルやファミリーが自由に腰をおろして食事を楽しみ、混雑してくると陽気なスタッフが席をずれるようにお願いしていく、その様子がなんとも楽しげだったのだそう。
ラスチカスの家具の配置はとにかくゆったりと贅沢。会話を交わしているすぐ耳元で、隣のテーブルの会話が聞こえてしまうこともありません。そのかわり、二人組どうして大テーブルの角と角に腰を落ちつけて、それぞれ自分たちだけの世界を楽しむのもいいし、もう1組と視線や笑いをシェアして楽しんでもいいのです。
10人のグループでひとつのテーブルを囲んで食事をするのも盛り上がりそうですね。ここならテーブルが分かれて話題が寸断されてしまう心配もありません。
夕方に訪れると、もしかしたらスタッフがアイアンツリーのキャンドルにひとつひとつ火をともしていく光景が見られるかもしれません。かつては青山ラスチカスに置かれていたアイアンツリー。白いキャンドルの下に垂れるロウはいま、10ヶ月分の高輪の夜の記憶を溶かしこんで、ガジュマルの気根のようにさらに下へ伸びようとしています。