アンティークの振り子時計に守られて
大テーブルの中央には、天井に届かんばかりのこんもりした見事な秋の枝々と草花。スタッフの一人にフワラーアレンジメントの心得があるそうで、つねに四季折々の野山の香りが楽しめます。この日は薄金色の美しいすすきの穂も加わり、柔らかな天井灯のもとで寝起きの天使のような姿を浮かびあがらせていました。
カウンターの横には金色の文字盤を持つ大きなアンティークの振り子時計が鎮座しています。オーナーが知人から譲られたものだそうで、15分おきに懐かしい音色で時を刻むその時計は、「お店を守ってくれるような存在感がありますね」と田口さん。
じつは、私は今までこの時計の音に気がついたことがありませんでした。カウンターで読書に集中しているか、テーブルで友人と話をしているかで、BGMに注意を払っていなかったせいもあるのですが、それほどこの時計の音が店内の空気にしっくりと溶け込んでいるのでしょうね。