築30年以上を経た古びたHKビル。その佇まいに惹かれた畑さんのセンスが存分に発揮されている店内には、このテイストを愛する私のような人間にはたまらない空気感が漂っています。
黒ずんだトランクの上に這うトカゲのオブジェと、日射しを受ける柔らかな植物の対比。ランプの仄明るさ。歳月が窓枠や中古家具の上に無数の傷や、錆や、深みのある色調を加えており、挽きたてのコーヒーの香りと音楽のなかで、いくらでも本のページに集中できる……その喜び!
壁の両側に窓がありますから、晴れた日は風がよく通り抜けて、気持ちのいいことこのうえありません。雨の日、雪の日に降り込められたら、さらにもうたまらない居心地の良さでしょう。
このインテリアは、たった1枚の写真から発想されたのだそうです。畑さんは10年以上、東京の有名なインテリア雑貨店でマネージャーを担当し、職場にはつねにインテリア関連の写真集や洋雑誌が溢れていたとか。
ふだんから強く印象に残った写真はコピーしておいたという畑さんに、エレファント・ファクトリー・コーヒーの発想の原型になったという1枚の写真を見せていただきました。それは……