ハンス・ウェグナーの椅子に腰かけて、極上の一杯を
「ウェグナーに座ろう」と題したすばらしいイベントが群馬県高崎市内の高崎哲学堂でおこなわれています。どこか茶室を思わせる清潔な気配に満ちた古い建物の一角には、とびきり風味豊かなコーヒーを淹れてくれるキッチン。ここでは、コーヒー好きの人々の間で、美しいフォルムと抽出するコーヒーのおいしさで大きな話題を呼んでいる「TORCH ドーナツ・ドリッパー」の生みの親、中林孝之さんが自らコーヒーを点てているのです。
ウェグナーの椅子に座り、哲学堂の庭の緑を眺めながら中林さんの点てるコーヒーをいただくために、木曜日の朝、少し早起きをして上野駅から高崎線に乗りました。
私にとっては初めての高崎。高崎哲学堂は駅西口から歩いて3~4分、高崎市美術館の裏手に、おだやかな陽射しと緑に包まれてひっそりと建っていました(写真下)。
今回の記事では、このイベントと中林さんのドーナツ・ドリッパーをご紹介しますね。私が高崎で出会ったのは、ヒット商品を作りたい、世の中の話題を集めたいと躍起になっている人々ではなくて、ただシンプルに、ひたむきに、おいしいコーヒーが好きでたまらない人、良いデザインをみつめようとする人々の姿でした。