横田シェフのこだわりは、繊細な温度感
ミキモトラウンジのデザートの数々は、パークハイアット東京のグランパティシエをつとめた後、独立して「菓子工房オークウッド」を開いた横田秀夫シェフが考案したもの。
横田シェフがこだわったのは、テイクアウト中心のパティスリーでは味わうことのできない”瞬間”のおいしさ。作りたての温かさと、舌を喜ばせる冷たさが同居するような絶妙な温度のヴァリエーションと臨場感は、この場を訪れてこそ堪能できるのです。
メニューは季節ごとに変わるそうですが、この日いただいた「苺のミルフィーユ」(1300円)は完璧のひとこと! ココナッツファイン、黒胡麻をあしらった香ばしいパータフィローの食感がなんともかろやか。下の層にはみずみずしいイチゴの粒とバタークリームとカスタード、上の層にはイチゴにライム、レモン、アニス酒を加えたソルベが並んでいます。
思いきってカリッと音をたててナイフを縦に入れ、3層をいっぺんに口に運ぶと、それぞれの甘酸っぱさ、芳醇さ、快い歯ざわり、なめらかさがみごとに調和して舌の上にひろがります。すっきりした後味は早春の風のよう。
時おりふっと鼻の奥に香るのは、素材の持ち味を活かすために火を加えないで用いるアニス酒の余韻。イチゴとアニス酒という組み合わせは、横田シェフのお気に入りなのだそうです。
壁にディスプレイされているのは
ミキモトインターナショナルの食器や花瓶
エレガントなランチも
ランチとしていただけるのは、そば粉のガレットやフレンチトースト。それぞれサラダやデザートとセットで登場します。ブリオッシュを用いたフレンチトーストは、ふわふわでジューシーな中身と、かりっと香ばしく焼けた表面のコントラストが楽しめますが、一度焼いたあとにオーブンで焼きあげることで、このコントラストが生み出されています。サラダに添えてあるフルーツトマトが美しく湯むきされていたことにも、丁寧なお仕事ぶりを感じることができました。
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