おいしいコーヒーは注文を受けるごとに一杯ずつ新鮮な豆を挽き、ディモンシュで長年腕を磨いてきた次郎さんがコーノ式のドリッパーで淹れてくれます。淹れるたびに必ずテイスティング用のカップにもコーヒーを注いで、味を確認することも忘れません。毎日、豆の状態が違うので、味がぶれないよう微調整する必要があるのだといいます。
コーヒー豆はディモンシュと同じように札幌の焙煎専門店「斎藤珈琲」から取り寄せています。
「何軒もの高名なコーヒー店でコーヒーを飲んできたのですが、いまひとつぴんとくるものがありませんでした。ディモンシュでコーヒーを飲んで初めて、おいしさに驚いたのです。斎藤珈琲さんの豆の味はシャープで、気分にぴったりだと感じます」
ディモンシュのカウンターに立ってコーヒーをドリップしていた頃、最初のうちはお客さまの視線に緊張したという次郎さん。でも、日々を重ねていくうちに、自然に気にならなくなっていったとか。
「まずはじめに、どうしたらコーヒーをおいしく淹れられるかを修得していったら、その次は、どうしたらお客さまの前で美しく淹れられるかと心がけるようになりましたね。眉間にしわを寄せて淹れるんじゃなくて」
コーヒーは、1杯500円でたくさんの人とつながれるもの
そんな次郎さんにコーヒーの魅力を訊ねてみました。「コーヒーは、1杯わずか500円くらいで、たくさんの人と人とをつないでくれます。ほかにはなかなか、そんな存在はないと思うのです。たとえばワインの場合だったら、すごくおいしいワインは非常に高価で限られた人だけのものですよね。でも、コーヒーなら決してそんなことはない。どんな人でも自由に、気楽に楽しむことができます。そして、そのおいしいコーヒーを通して、いろいろな人々と知り合う機会がもたらされます」