天然酵母のパンとスコーンを焼いて
地下鉄後楽園駅・春日駅に隣接する文京区役所/文京シビックセンターから歩いて3分、春日通りに通じる細道に2006年2月、天然酵母パンとコーヒーのおいしいカフェ、CORB(コルブ)がオープンしました。古い建物ですが、外観だけ見れば<古びた>という風情ある言葉はおよそ似合わず、<中途半端に古くさい>という形容詞しか浮かばない微妙な雰囲気。しかし一歩足を踏み入れると、店内には焼きたてのパンの香りがほのかに漂い、カフェ好きの心をとらえて離さない美しい光が宿っていました。
そして私はここで、今までひそかに抱いていたライ麦パンに対する偏見をくつがえす、本当に穀物の味が濃い、むっちりしたライ麦パンに出会うことができたのです。
毎日一人でパン焼きから接客までこなしているオーナーは中山環さん。このスペースの前身は「おばあちゃんが一人でやっていた美容室だったようです」とのこと。内装を担当したパートナーの佐竹勝郎氏とともに中山環さんが考えたお店のイメージは「夜光虫」。人通りの少ないこの路地に、夜になるとカフェの窓からあたたかい光が洩れて、さながら夜の暗い波間に浮かんで揺れる夜光虫のようだという幻想的な見立てです。