洗練と茶目っ気が交差する空間
私の目は、窓枠やシェルフに並ぶ木製の人形たちに惹きつけられました。本を読む人。舟を漕ぐ人。小太鼓を叩く兎。シンプルでどことなくユーモラスなフォルム。店内で作品展を催した作家によるオブジェですが、この空間にしっくりなじんでいるのでそのまま置いているのだそうです。鉄製の椅子の背もたれに掛かる布には美しい刺繍。天井から下がる鳥籠。カウンター奥の壁に開けられた小窓には、昔懐かしい算盤がはめ込まれていました。優雅さと茶目っ気の交差するそんなディテールにも魅力を感じます。
使われている食器は、青山で器のギャラリー&ショップを営むオーナーの奥様によるセレクト。昼間は和の食材を使った丼ものやシチューが、18時からのディナータイムには、地鶏料理やオーナーの地元・秋田の郷土料理きりたんぽ鍋やがっこ(漬物)が楽しめます。
ディナータイムに訪れるお客さまは30代~40代が中心。常連客の一人が教えてくれました。
「この店の魅力はオーナーの人柄。ほら、気取らずあったかくて、商売っ気がないでしょう? でも居酒屋ではなくて、いい雰囲気の中で静かで落ちついて飲める。こういう場所はありそうでいて、なかなかないんですよね。」