カフェ/池袋・駒込・上野・浅草のカフェ

CAFE&BAR ROUND(ラウンド)…小石川

アナログでジャズとソウルが流れる憩いの場。年配の人々の利用も多く、家のレコードプレーヤーが壊れたからと、レコードを持参してお店にキープしておくお客さまも。

川口 葉子

執筆者:川口 葉子

カフェガイド

アナログのジャズとソウルが流れる憩いの場



小石川は江戸時代に大名屋敷街として発展したエリア。縛られ地蔵、こんにゃく閻魔、水戸徳川家上屋敷の庭園だった小石川後楽園など、江戸の旧跡をめぐる散歩が楽しめます。

伝通院は徳川将軍家の帰依が篤かったお寺で、境内には家康の生母や千姫など徳川一族の女性の墓が並んでいます。その「伝通院前」交差点に2005年3月、小さなカフェがオープンしました。落ち着いた住宅街がひかえる場所柄、お客さまには若い人に混じって年配の方も多く、コーヒーを飲みに訪れる80代のおばあちゃんもいらっしゃるとか。

「若い人だけが利用するカフェではなく、ジャズ喫茶に通った世代からご年配の方までがひとつの空間を共有して一緒に楽しめる、そんなカフェが作りたかったのです」
と、オーナーの船木篤志さん。薄暗い照明はご近所の方々に心理的抵抗を与えるため、バータイムでも店内の照明を明るくし、気軽に扉を開けられる雰囲気にしています。



それぞれのお客さまに「想い出の喫茶店」が



大学時代にジャズのサークルに在籍し、アルトサックスやボーカルを担当していた船木さん。店内の白い壁には多数のレコードジャケットが飾られています。中にはレコードかと思いきや、近所に住むイラストレーターが描いたレコードサイズのイラストも。また、レコードを持参して、お店にキープしておく常連客もいるとか。

「お店でナット・キング・コールのレコードをかけていたら、60歳前後の女性が『ずっとこの歌を聴きたいと思っていた。自宅のプレーヤーが長いこと壊れたままで、レコードを聴くことができなかったんです』とお喜びになり、300円のコーヒーに無理やり1000円支払っていかれたことがあります。それ以来、週末ごとにご夫婦でコーヒーを飲みにいらっしゃいます」

人はそれぞれに想い出の喫茶店を持っている、と船木さんは感じています。
「若い頃から本郷の珈琲店に通っていたのだけれど、そのお店がなくなってしまい、コーヒーで休憩できるこういう店を探していた、と言うお客さまもいらっしゃいますよ」
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