シャンパン・スパークリングワイン/おすすめのスパークリングワイン

「レ セゾン」で「ベル エポック」を試飲(4ページ目)

ペリエ ジュエの最高級シャンパーニュ「ベル エポック」は、花柄ボトルのエレガントなワインである。その2002年ヴィンテージ発売を前に、帝国ホテル東京のフランス料理店で試飲会が開かれた。

執筆者:橋本 伸彦

完璧な熟成を味わう


ベル エポック1985年
そして、今日の真打ち登場――ベル エポックの1985年ヴィンテージがマグナムボトルから注がれる。ふうわりと沸き立つ泡立ちと、淡く黄金色を帯びた色調が、たっぷりとした熟成感を予感させる。このグラスは熟成した1985年ヴィンテージのために特別にデザインしたもので、他のグラスはワインがたまるボウル部分に装飾が施されているが、これだけは無色透明のまま、ボウル部分が大きめに膨らんで縁のところが狭まっている。ベース(基部)のみ金一色の描画とロゴが加えられているデザインは、ペリエ ジュエにしては落ち着いたスタイルだ。

上のグラスの拡大図。グラスのベース部分のみに装飾が施されている
デシャン氏は「私が入社して2年目。1月にひどい寒波があり、摂氏マイナス25度という気温が、なんと3週間も続いて、ブドウの樹が被害を受けました。夏にかけては正常な気候になりましたが、収穫量は場所によって半減したり、我々のマイイの畑のように収穫が無かった場所もあった」と述懐するが、収穫量が減ってブドウが凝縮したこともあったのだろう、リッチなヴィンテージとなった。


ベル エポックの1985年を試飲しながら彼は「コンフィ、蜂蜜、蜜蝋、ローストしたヘーゼルナッツの香りがある」と述べる。これは「蔵出し」だけあって、ブドウの収穫年から25年を経たシャンパーニュにしては非常に状態がいい。澱と共に熟成して若々しいだけでなく、安定した環境で熟成したワインの澄んで落ち着いた風味と、甘やかでソフトな熟成香が感じられた。

このワインならば、フォアグラの脂やクリームの味わい、かぐわしいトリュフの香りでも受け止められそうだ。シェフのヴォワザン氏が作ったメインの肉料理は『トリュフをまとわせたブレス産プーラルド バスマチライス フォアグラとトリュフ』。ブレスはフランス随一の家禽の名産地で、「プーラルド」はフランス語で「肥育鶏」。柔かくソフトだが充分なコクがある鶏をジューシーなピンク色に加熱し、泡立てたクリーミーなソースとの刻みトリュフをかけ、フォアグラとトリュフでねっとりと仕上げたバスマティ米を添えた一皿である。

『トリュフをまとわせたプレス産プーラルド バスマチライス フォアグラとトリュフ』

刻みトリュフは細長く刻まれているのでスライスよりも香り立ちがいい。それがたっぷりと散らされており、トリュフの芳醇さとベル エポック1985年の芳醇さ、双方が口の中でせめぎ合う愉しみが味わえる。また、バスマティ種の米もトリュフと同じく、形状が細長くサクサクした食感。濃厚ながら繊細な香りと食感という点では鶏もひけをとらない。これは鶏と米とシャンパーニュの三つ巴が楽しめる味わいでもある。鶏とクリームソースに米を添えるのは古典料理だが、これほど華やかな現代料理にも仕上がるのだ。

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