20年間を経たロゼの熟成とは?
ロゼ・シャンパーニュを20年も取って置くのは余程の好事家に違いない。だがこれが旨いとしたら、どこかから探して来なくてはなるまい。そのありかが、生産者のセラーだとしたら理想的である。このレアヴィンテージ・ロゼ1985はその理想的なワインがつい最近リリースされたものである。新たにデザインして貼られたラベルこそ真新しいが、中身は年代ものである。
ワインの色は、すでにロゼと言うより茶色に近くなっている。しかし依然として生き生きとした輝きや色合いを帯びて、上質の熟成を期待させる。泡も量こそ年月を経て少なくなっているが、やさしく立ち昇る。口当たりは濃厚な1985年ヴィンテージらしく、完熟した甘い香りととろりとしたヴォリュームがある。全体がこれ以上ないほど調和して静かな落ち着きをたたえている。少し枯れたブーケが出て来ており、「熟成ピークの終盤。これから徐々に衰えていきます」というブラン氏の説明もうなづける。
これは仔牛フィレ肉のローストに季節のセップ茸のクリーミーなソースを添えたものと合わせてみたが、ロゼ色の肉汁の滲む仔牛に秋の香りをまとっているから、調和の取れた果実味と熟成香たっぷりのレアヴィンテージ・ロゼと申し分のない釣り合いである。
秋にぴったりの、熟成したシャンパーニュ。そしてワイン全般に目下ロゼが流行中。「今年の秋冬ファッション」に便乗して、あなたのロゼ・シャンパーニュ体験を広げてみてはどうだろう。
■ 取材協力: ヴーヴ・クリコ ジャパン
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