熟成して発揮される、グランダムのちから
ラ・グランダムは、ヴーヴ・クリコが擁するシャンパーニュの頂点である。注がれた1998年をご覧頂きたい。粉末のように微細な泡が、液面で渦巻き、折り重なっている! いいシャンパーニュは泡がきめ細かい、泡持ちがいい、とはこういうことを言うのである。もちろん口の中でもシルクのような泡の感触が愉しめる。
この年、ピノノワール種の比率は約3分の2、残りは全てシャルドネというブレンド。クリアな力強さを追求したスタイルである。赤ワインは15%加えられており、ブージー村の最良の畑のひとつ『クロ・コリン』のピノ・ノワールだけを使っているという。色は赤と言うよりもかなりオレンジ色が強い。全体に金属のような、赤銅色・黄金色の光を帯びる。
口に入るとピンと来るような果実の力強さ!しかし荒々しさはなく、泡立ちの後には、大胆な酸味を伴ったやさしくなめらかな赤ワインといった味わいが、さらさらと口中から喉へと流れて行く。時期的にはまだまだ風味が開ききっていないはずであることを考えると、これをさらに熟成させたらどうなるのか? ……想像は膨らむばかりである。
よく一般に「ロゼは本格的なワインではない」などと言われるが、これを味わったらそんな寝言は言えなくなることだろう。
1985年ヴィンテージが登場!>>