ヴィルマールを嗜む理由レコルタン・マニピュランの中でも随一と評される小規模生産者ヴィルマールは、シャンパーニュ地方でも黒ブドウを得意とするモンターニュ・ド・ランス地区にある。この地方では、薬剤を使ってブドウを作り、ステンレスタンクでワインを造ることが多い。しかしここでは無農薬栽培を貫き、樽で発酵そして熟成させるのだ。まず、ノンヴィンテージのグランド・レゼルヴ。7割を占めるピノ・ノワールの実力を、余すところなく伝えている。収量を抑えて凝縮感を出した上質なブドウを使い、大樽を使ってベースのワインを造る。きりりと立った酸味は勿論、柑橘系のほろ苦さやスモーキーなアロマがあり、力強いのに繊細。当主ローラン・シャン氏のキャラクターそのもの、である。19世紀からシャンパンを造り続けてきたヴィルマール。ワイン用ブドウ栽培の北限に近いこの地方で、比較的標高の高い丘の東向き斜面にある畑。石灰質の土壌が特徴である。きりっと引き締まった味わいと精妙なバランスはこの辺りから来ているのだ。こんなシャンパンを飲むときには、落ち着いて味わなくてはならない。シャンパン通なら、程よく冷えたところを細長いフルートグラスに入れてじっくりと味わいたい。また時には温度を高めに大き目のグラスに注いで、香りの豊かさを楽しむのもいいだろう。グラスを回しても大丈夫だ。本当にいいシャンパンは、泡が抜けてもなお旨いから……。前のページへ123次のページへ