サントリーのジレンマは緑茶に現れた
缶入り緑茶に代表される緑茶飲料が登場してから20年近く経ちました。発売当時は「わざわざお茶を缶に入れて売るなんて」なんて意見もありましたが、いつの間にか、それが当たり前になってしまいました。緑茶飲料が大々的に展開されるようになったのはバブル崩壊以後だったかと思います。伊藤園の『おーいお茶』が成功し、他の飲料メーカーも力を入れるようになりました。
最近の緑茶飲料における大ヒット商品といえばサントリーの『伊右衛門』でしょう。しかし、伊右衛門に至るまで、サントリーの緑茶飲料は『保守的か・現代的か』という大きな振幅がありました。それは『斬新だが伝統的』というサントリーの社風から来るジレンマだったのではないかと考えます。そこで今回は、サントリーの緑茶飲料がどのような変遷をたどっていったのか紹介してみたいと思います。
バブル期は意外にフツー
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サントリー日本茶 |
これは1991年当時にサントリーから販売されていた緑茶です。この当時、缶入り緑茶はパッケージデザインにはあまりこだわっていないようです。今でも使えるデザインですね。
丸書いて、茶書いて♪
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サントリーの緑茶 |
1993年に発売され大ヒットとなった『サントリーの銘茶』です。『京都の老舗のお茶屋さんのお茶』というコンセプトと、CMタレントとして登場した服飾評論家の市田ひろみさんのキャラクターがウケたのがヒットの理由だったと思います。どうしても目新しさを求める飲料業界ではありますが、『伝統には勝てない』ことを知らされた商品でありました。何たって京都で『この前の戦争』というと『応仁の乱』だそうですから。(ちなみに、会津若松で『この前の戦争』というと『戊辰戦争』だそうで)