そして1987年(昭和62)年4月に国鉄はJRに移行、バブル経済真っ只中ということもあり、豪華な列車がたくさん誕生いたしました。上野~札幌間の寝台特急『北斗星』、大阪~札幌間(日本海縦貫線経由)の寝台特急『トワイライトエクスプレス』などです。これらの列車の食堂車、ディナータイムは予約制で豪華なフランス料理が食べられるというものでした。北斗星はその当時、予約開始から数分で切符が売り切れてしまうという人気列車でした。北斗星人気を受けて、1999年(平成11)にはより豪華な寝台特急『カシオペア』が運転開始となりました。

1990年(平成2)の『北斗星』ディナーメニュー(予約制)
料理 価格
(A)牛フィレステーキを中心としたフランス料理コース 8000円
(B)鹿背肉ソテーを中心としたフランス料理コース 6000円
(C)ビーフシチューコース 3000円
(D)海峡御膳 3000円

1990年(平成2)の『北斗星』パブタイムメニュー
料理 価格
海老と帆立貝柱のフライ 1300円
帆立貝柱のバター焼き北海風 1200円
いかの北斗焼き 1000円
海の幸のサラダ 1000円
北海道のチーズ盛り合わせ 800円

1990年(平成2)の『トワイライトエクスプレス』食堂車メニュー
料理 価格
四季折々の沿線の材料を使ったフランス料理(ディナー・予約制) 10000円
豪華和食弁当(座席までお届け) 5000円
和・洋朝食 1500円

弘済出版社刊『JR時刻表』1990年4月号食堂車メニューより書写。


このように豪華な列車と豪華な食堂車メニューが話題になりましたが、一般の列車からは食堂車が消えていきました。列車の高速化や、飛行機の普及による長距離列車の利用客減少などが理由と考えられます。

以下に1990年(平成2)の東海道ブルートレイン食堂車メニューを掲載しましたが、昭和30年代のメニューの豪華さがありません。私も1991年(平成3)、長崎旅行からの帰路、特急『さくら』の食堂車で朝食を食べました。モーニングセットを頼んだ記憶があるのですが、すごく味気ない食事だった記憶があります。北斗星などの豪華特急はインテリアも豪華でしたが、普通のブルートレインは内装があまりにも殺風景で、何かの実験室で食事をしているようでした。

1990年(平成2)の東海道ブルートレイン食堂車メニュー(一部・J-DINER)
料理 価格
旅路御膳 2000円
シチュービーフコース 2000円
中華三菜料理 2000円
ハンバーグステーキ 1000円
スパゲティミートソース 900円
五目チャーハン 900円
ミックスサンド 650円
スモークサーモン 900円
牛肉のたたき 900円
いかの一夜干し 650円
フライドチキン 500円
弘済出版社刊『JR時刻表』1990年4月号食堂車メニューより書写。


今回、手持ちの雑誌や時刻表などからメニューを引用してみましたが、提供される食事は大衆食堂ではなく、レストランや割烹などで出てくる高級メニュー、また高価であることに気がつきました。かつてはお大尽のための食堂車だったので、提供されるメニューや金額は納得がいきますが、最近は『列車旅行=ハレの場』なのでしょうか。ハレの場にはそれにふさわしい食事を食べようと思いますからね。

あと考えたのは、普通の食堂と違って、ふらりと外から入ってくるお客がいる訳が無く(『飛び込みの客』と書くとブラックですかね)、列車に乗っているお客しか利用できないというのも、単価が高い理由なのでしょう。

個人的には在来線の昼間特急に食堂車を復活してほしい、食堂車で食事をしたい、と思ってはいますが、既にそういう時代ではないのかなと今回の記事を書いていて思いました。

●参考文献

電気車研究会『鉄道ピクトリアル』1989年5月号『特集・食堂車』
交友社・星晃著『回想の旅客車~特ロ・ハネ・こだまの時代~』
日本交通公社刊『時刻表』1972年10月号
弘済出版社刊『JR時刻表』1990年4月号


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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。