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『汽車旅』に欠かせなかった車両とその歴史をたどる 思い出の食堂車(6ページ目)

かつては特急列車だったら必ず連結されていたのが食堂車。今はごく僅かな列車でしか見かけなくなりました。今回は食堂車の歴史と私の食堂車に関する思い出をつづります。

久須美 雅士

執筆者:久須美 雅士

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このように長距離列車全盛の時代に、食堂車に対し大打撃となった事件がありました。1972年(昭和47)に起きた『北陸トンネル列車火災事故』です。北陸線・北陸トンネルの中で急行『きたぐに』の食堂車から出火、多数の死傷者を出したという事件です。

出火原因は連結されていたオシ17型食堂車の喫煙室電気座席ヒーターの過熱だったのですが、前述の通り、当時としても旧式だった石炭レンジを使用していたということが問題となり(それよりも軽量客車が難燃構造になっていなかったこと、トンネル火災時の乗客誘導などの対応不備が本当の原因)、オシ17型は全車使用停止となりました。また、当時の国鉄の状況もあり、食堂車が廃止されたり、連結されていても営業していない列車が多くなりました。
私が知っているところでは、上越線の特急『とき』も車両の入れ替えと共に食堂車は廃止、急行『佐渡』もビュフェが連結されなくなりました。当時はまだ上越新幹線や高速道路もできておらず、また、飛行機も現在のように庶民的な乗り物ではなかったので(飛行機に乗るのは新婚旅行くらいでしたよね?)、当時の国鉄の列車は『移動のための道具』でしかなかったと思います。

再び食堂車が脚光を浴びるのはバブルに入りはじめた頃です。1980年(昭和60)に東海道新幹線に2階建て車両がデビューしましたが、2階が食堂車になっていました。当然のことですが見晴らしが良いこともあり、とても人気があったそうです。東北・上越新幹線もこの当時はビュフェを営業していましたが、東海道・山陽新幹線の豪華なメニューに比べると、電子レンジで加熱するだけの『軽食』のみでした。東京出張の帰り、満員で着席できないときなど、ビュフェの電話(当時はまだ携帯電話は金持ちの持ち物でした)が空くのを待ちながら、味気ないカレーライスをコップの水で口に押し込んでいました。

1990年(平成2)の東海道・山陽新幹線食堂車メニュー
料理 価格
J-DINER
ステーキディナーコース(2階建新幹線) 5000円
海のフルーツコース(2階建新幹線) 3000円
桜御膳 2060円
Jダイナーピザ 850円
小羊のワインソテー 800円
ビュフェとうきょう
和牛ステーキセット 4000円
玄界・海の幸定食 3000円
ビーフシチューセット 2150円
うなぎ蒲焼定食 1960円
ハンバーグステーキセット 1700円
帝国ホテル列車食堂
サーロインステーキディナー
(グランドひかり特撰メニュー)
5000円
ブルゴーニュ風ビーフシチュー
(グランドひかり特撰メニュー)
2000円
和定食 1440円
海老のチリソース 1030円
にっしょく西日本・J-DINER・丸玉給食(ウェストひかり)
特製カレー(ミニサラダ付) 750円
ウェストセット(和風セット) 700円
グルメセット 600円
ガーデンサラダ 300円

1990年(平成2)の東北新幹線ビュフェメニュー(J-DINER)
料理 価格
カレーライス(サラダ付) 600円
ミックスサンド 550円
牛舌焼き 520円
焼きそば 460円

1990年(平成2)の上越新幹線ビュフェメニュー
料理 価格
J-DINER
わっぱ飯 770円
チャーハン 670円
牛丼 620円
いか一夜干 460円
聚楽
おけさごはん 900円
鮭の親子重 850円
天ぷらそば 620円
スペシャルサンドイッチ 600円
J-Diner Cafe(カフェテリア)
和風セット(お茶付) 900円
カツサンド 550円
海老ちらし 370円
フルーツセット 250円

弘済出版社刊『JR時刻表』1990年4月号食堂車メニューより書写。
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