昨今のグルメブームでグルメガイドはたくさん出ていますが、日常よく飲食するのに、本が無いジャンルの物がよくあります。たとえば缶コーヒー。どこの缶コーヒーがおいしいか、ガイドになる本があるといいなと思ったことはありませんか。実はそういうガイド本があったのです。
名前はずばり『珈琲番付』。缶コーヒーを飲み比べて、相撲の番付みたいに横綱、大関、小結…とランキングするというものです。市販の書籍ではなく個人の制作する同人誌なのですが、日本の缶コーヒー界に影響を与えた本でして、私は『缶コーヒーのミシュランガイド』だと思っています。しかし残念ながら、珈琲番付は今シーズンで制作を終了することになりました。今回は、制作者のサークル・きりん本舗の『空腹親方』こと小金井博司さんへのインタビューを交えて、珈琲番付の足跡をたどろうと思います。
最新版『珈琲番付2001-2002』の表紙
久須美(ガイド。以下『久』) 初めて『珈琲番付』を発行されたのはいつですか。
小金井(敬称略。以下『小』) 1996年の1月です。今まで6回発行していて、今回が7回目になります。部数は延べで3000部くらいでしょうか。
久 どのような理由で珈琲番付の制作を思いついたのですか。
小 よろづ山親方(ガイド注:小金井さんの奥様)がサントリーのボスジャン欲しさに買いだめして来たBOSSの山を見て単純に「世の中の缶コーヒーをおいしい順に並べた本を出したら面白いんじゃないの。どうせ50本位だろうし」と私が言ったのが始まりでした。しかし、この「50本位だろう」というのは大間違いでしたね…。
久 収録した缶コーヒーの数はどれくらいになりますか。
小 初回が193本、2冊目が412本で、ここまでは、集めた缶は現役でも終売でもかまわず載せていました。以降、3~6冊目までは終売になった缶コーヒーは収録を取りやめましたので、600本近辺を推移してきました。今回の7冊目は収集本数が多かったため、700本位の収録になります。
なお、試飲本数(新規収集本数)では、初回(1995-1996)が193本、2冊目(1996-1997)が219本、3冊目(1997-1998)が184本、4冊目(1998-1999)が240本、5冊目(1999-2000)が201本、6冊目(2000-2001)が275本(この年から多数の缶コーヒーコレクターの方々からのご協力をいただけるようになったため、収集本数が劇的に増えました)、
そして最後の7冊目(2001-2002)が爆発的に増えて357本!ここまで増えちゃうと個人レベルでは手が負えなくなってきましたので、やめるには良いタイミングだったかも知れません。