太麺が受けている
▲つけ麺の元祖 「東池袋大勝軒」のつけ麺 |
つけ麺だからといって「太麺」である必要はない。しかし、元祖である「東池袋大勝軒」が太麺だったからか、つけ麺を出す店は麺を太麺にしているケースが圧倒的に多い。ラーメンには細麺出していても、つけ麺用に太麺を用意している店も増えている。
ただし、太麺は茹で時間も長くなり、経営的には非効率である。また2種類の麺を扱うことにより、オペレーションも考えねばならず、回転も悪くなるという欠点がある。しかしながら、それでもなお「つけ麺は太麺」支持派が圧倒的に多い。「麺バカ息子」(鶴見)はうどんのような極太麺を提供して話題になっている店。もちろん茹で時間も長く、それは事前に告知されている。
濃厚スープが受けている
▲濃厚スープの先駆者 「六厘舎」(大崎)のつけ麺 |
つけ麺は太麺が多い。その太麺をおいしく食べさせるには、その麺に負けないインパクトがスープにも欲しい。そこで自然な流れとしてつけ汁が濃厚になってきた。
首都圏で特に行列が長い「六厘舎」(大崎)や「とみ田」(松戸)は、特徴的な濃厚スープが売りである。初めての人はおそらく「うわ~濃いっ!」と驚くほどの濃厚さである。また「六厘舎」はつけ汁に海苔を浮かせ、その上に魚粉をのせている。これをマニアの間では「六厘舎風」などと呼んでいる。このスタイルも全国各地で取り入れる店が増えてきた。
魚粉を加えることでパンチを加えるのだが、最初から加えるのではなく、海苔の上に置くことによって、途中から混ぜることも可能にしている。魚粉は瓶に入れて客が自由に入れることができるようになっている店も増えてきた。
全国的に見て、受けているつけ麺の多くは、この「濃厚スープ(魚粉入り)に極太麺」と言ってもいいだろう。
麺に絡みやすいスープ創作
▲「ajito」(大井町)のつけ麺 |
つけ麺をおいしく食べてもらうためにつけ汁の“濃厚化”が始まった。濃くすれば麺とつけ汁が絡みやすくなり、若い人を中心に受けてきたのである。ところが別のアプローチを始める店が登場した。
「創作麺屋」と名乗っている「ajito」(大井町)は、つけ麺専門店であり、しかもそのつけ汁はかなり斬新である。つけ汁に野菜ソースを加えることにより、麺との絡みがよいオリジナリティのあるつけ汁を完成させた。イタリアンの「ソース」の発想を取り入れたつけ麺である。
「丸」(三田)のつけ麺もまたユニークである。つけ汁はどろどろで麺との絡みはものすごく、途中で無くなってしまうほど。そのため「つけ汁のお替わり」を用意している。このとろみは米とじゃがいもなどで作られているらしく、つけて食べるというよりも「ソースを絡めて食べる」という感じ。ドロドロのカレーからカレー風味を取ったような印象で実に面白い。新しいタイプのつけ麺と言える。