ラーメン/関東のラーメン

らあめん 嶋や@横須賀

新横浜ラーメン博物館の売り上げ記録を持っている「井出商店」の当時の店長が独立して、店を出していた。いい感じの懐かしくもおいしいラーメンだった。

大崎 裕史

執筆者:大崎 裕史

ラーメンガイド

新横浜ラーメン博物館の行列の長さの記録は確か和歌山ラーメンブームの時の「井出商店」が持っているはず。2時間とか3時間待ちだったと思う。そんな時の店長は嬉しい反面、相当な重労働であったろうと想像できる。当時の店長は「和歌山ラーメン 紀一」を経て、横須賀で独立していた。

紆余曲折を経て、自分の店へたどり着いた

嶋や
「らあめん 嶋や」の外観
1990年代の後半から2000年前後には「ご当地ラーメンブーム」が到来していた。旭川、和歌山、徳島など。その中でも和歌山ラーメンブームの盛り上がり方は凄かった。

当然ながら、和歌山へラーメンを食べに行く人の数も増えたが、新横浜ラーメン博物館の行列の長さと言ったら大変なことになっていた。入場制限もあったり、館内に入っても今度は店に並ぶこと2時間とか・・・。

その中心に居たのが「井出商店」である。和歌山の本店でもすごいことになっていたらしいが、ラ博の「井出商店」も記録的な行列であった。その頃の店長はその後、「和歌山ラーメン 紀一」を経て、横須賀で店を出していた。その名は「らあめん 嶋や」。

和歌山ラーメンで一時期を過ごして来たわけだが、この店には「和歌山ラーメン」の冠や肩書きがない。その味を自分のものにし、それを自分なりに消化して自分なりのラーメンを作り上げたのではないか、と思う。


和歌山ラーメンをアレンジし、「嶋や」のラーメンへ

嶋や
らあめん 600円
店に入ってみると、「紀一」時代にテレビの撮影で訪れた頃の笑顔の店主が居た。「おや?」という表情は元気そうで、生き生きしたものを感じた。これはうまいラーメンが出てくるのではないか?という予感。

ラーメンを作っているところを見るとスープが見るからに濃厚そう。寸胴からすくったスープにはたっぷりの骨が一部、粉のようになっている。それをザルで漉して丼に入れる。

出てきたラーメンは、見るからにおいしそう。チャーシュー4枚は600円のラーメンとしては実にありがたく、嬉しい。これは決して私たちへのサービスではない。600円のらあめんを頼むと4枚のチャーシューが普通に入っているのである。

スープは濃厚ながら、醤油とうまい具合に合わさって、実に飲みやすい。和歌山ラーメンの特徴を残しながらも、アレンジを施して「店主の味」に変貌を遂げていた。看板や店頭に「和歌山ラーメン」を掲げていないのは「和歌山ラーメン」という名前の力を借りて勝負するのではなく、「俺のラーメン」でやっていくのだ、という心意気を感じた。

こういうタイプのラーメンは久しぶりであったが、実に満足のいく一杯であった。


<店データ>
■らあめん 嶋や
所在地:横須賀市安浦町1-3-8
電話: 046-821-1477
営業時間:11:00-15:00、17:00-21:00
定休日:第2・4火曜
地図:Yahoo!地図情報

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