新横浜ラーメン博物館の入れ替わりがあるたびに「次はここかな?」とか「この店に来て欲しいなぁ~」とか、いろんな予想をしていた。残念ながら、それは滅多に当たることはなかった。
そんな予想をするたびにいつも浮かんできたのが山形は赤湯に本店がある「龍上海」である。創業40年以上の老舗であり、行列ができるほどの人気店であり、東京からも多数の人が食べに行くほどの全国区的な知名度もある。それでいて、山形県以外には出店していない。
新横浜ラーメン博物館のみならず、多くの集合施設が声をかけていたに違いない。そして、長い間、断り続けていたはずである。そんな「東北最後の大物」がいよいよ動いたのである。2005年12月14日に新横浜ラーメン博物館に登場したのだ。
そこで私は、他の用事を調整して試食会に参加してきた。今回は、ラ博の新店をその都度、紹介記事にしている
「横浜ガイド」の田辺さんと同席させていただいた。
※田辺さんの記事はこちらをクリック。赤湯からみそラーメンとは?
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新横浜ラーメン博物館のコンセプトに合わせ、昭和30年代の外観 |
新横浜ラーメン博物館は「昭和30年代の街並み」がコンセプト。映画になった「Always 三丁目の夕日」などにも共通する風景である。「龍上海」の創業も昭和33年。まさにこの空間にふさわしい店が出店することになったわけだ。そんなわけで、新店なのだが、昭和30年代風の外観。
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真ん中の「からみそ」を溶かしながら食べる |
この店の人気メニューは「赤湯からみそラーメン」。右がその写真である。ちょっと軽めの味噌スープだがかなり煮干しを効かせている。というのもそもそもの発想が「味噌汁のようなラーメン」だからだ。具はいたって普通で札幌風とはここが大きく違う。中央にからみそが浮いている。このからみそ無しでも十分においしいのだが、このからみそがまたたまらないのである。いわゆる「からうま」なのだ。
日本でも最古クラスの味噌ラーメン!
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からみそは、味噌と唐辛子、ニンニク、他の香辛料などを加えて作る |
味噌ラーメンの元祖は札幌にある「味の三平」である。ラ博のホームページにある
「日本のラーメンの歴史」によると、1961年に「味の三平」の味噌ラーメンが発売された、とある。45年前の話だ。面白いことにこの「龍上海」もまた、45年前から味噌ラーメンを出しているのだ。
当時は、情報の流通も活発ではなかったので、どちらかが真似をしたわけではなく、自然発生的に誕生したのだろう。この際、どちらが先か、などというのを詮索するのは野暮というものだ。「味の三平」が全国の味噌ラーメンブームに一役買ったのは紛れもない事実であり、「龍上海」が地元で長い間、人気を保っているのも本当の話なのだ。
そして昨今の「激辛ブーム」で「辛いけど旨い」というのをすでに45年前から登場させていた、ということにもなる。このからみそは、味噌と唐辛子、ニンニク、他の香辛料などを加えて作ったもので、正直全部溶かして食べるとかなり辛い。少しずつ溶かして自分の好みの辛さで食べるのが望ましい。
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麺にも特徴があり、ぷるるんとした食感のおいしい麺を使用 |
山形といえば、日本一中華麺の消費量が多い町としても知られている。そして、山形のラーメンは麺がおいしい。ご多分に漏れず「龍上海」の麺もおいしい。スープに合うように作られた自家製麺は、やや太めでねじれのあるもちもち麺。少し柔らかめだが、茹ですぎではなく、簡単には延びないすぐれた麺だ。これが一杯につき、たっぷりと180g入っている。
「龍上海」というお店
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丼にはメニュー名も書かれている。 |
この日のスープもなかなかおいしかったのだが、私はからみそを溶かしすぎたせいか、かなり辛くてスープを完食することはできなかった。このラーメン一杯でたくさんのカプサイシンを摂取できるのではないか?と思うくらいにからみそは効いてくる。
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辛いのが苦手な人は、しょうゆラーメンを。こちらも旨い。 |
辛いモノが苦手な人はどうすればいいか?迷うことはない、しょうゆラーメンを頼めばいいのだ。確かにこの店は「からみそラーメン」が人気で、たいがいの人がそれを注文する。しかし、脇役に追いやられてしまった感のある「しょうゆラーメン」も旨いのだ。山形らしさを感じさせる青海苔や後半まで熱々のラードがいい。「からみそ」はトッピングとして100円でも売っているので、「しょうゆ」と「からみそ」の組み合わせも可能だ。さらには激辛が好きな人は「からみそラーメン」に「からみそ」を追加するという荒技も可能。複数人で行けば、より楽しく、おいしく食べることができる。