アスパラを平打ち麺風にアレンジ。
鯛の新鮮さで、こちらの食材選びの真摯な姿勢が伺えます。 |
前菜は、「イタリア産ホワイトアスパラのタリアテッレ仕立て 春の鮮魚と花山葵と共に」。これは、桜鯛に、平打ち麺風に薄切りにしたアスパラをアレンジし、全体に花わさびの先端を散らしたもの。
スッキリとフレッシュな味わいの中に、ちょっぴり甘みを感じるのは、オリーブオイルを使うことで、ドライトマトの甘みがより出てくるから。それが、花山葵の苦味と重なり、さっぱりと引き締まった鯛の旨みを引き立てます。
蜂蜜の甘さの中にも、白胡椒の刺激がピリッ。
ちょっと入れただけで味が変わりやすいウイキョウの使い方もナチュラル。 |
もうひとつの前菜は、「仔ウサギのトルティーナ ウイキョウの蜂蜜と炒った白胡椒を香らせて」。トルティーナは、一見、テリーヌ状でやわらかそうなのですが、いただいてみると、けっこう固め。ウサギの肉そのものといった感じで、量のわりには食べ応えがあります。
添えられている紅芯大根にも、ウイキョウの花から採った蜂蜜がかかっているので、全体的には甘い印象ですが、白胡椒もよく効いているため、飽きさせない味わいです。
トロフィエとそっくりに仕立てられた白魚。
もどきなんて言わせない! 白魚だってりっぱなパスタ! |
パスタは、「白魚、タケノコ、フレッシュトマトのトロフィエ」。トロフィエとは、小麦粉と水だけで作った、短いねじりパスタですが、ここのは、白魚を香ばしいフリットにし、クニャクニャとさせたもの。
グルテンでもちもちのトロフィエとは、若干、食感は違うものの、コシが似ている上、見た目もそっくり。アイデアも美味しさのひとつと言いますが、これこそ、そのひと品。ネギやトマトとともに散らしたタケノコのシャキシャキ感も、はずせない歯応えです。
イメージを上手に裏切るおもしろさ。
クレソンを小さく切ることで、苦味が程好く分散。 |
もうひとつは、「和牛の赤ワイン煮とクレソン、リコッタチーズのタリアテッレ」。パスタがオレンジなのは、練り込んだ卵の色。
ざっくりと混ぜられたクレソンは、クキ以外、小さく輪切りにされていたので、口に入れるまでは、すっかり浅葱とばかり。お皿の脇に葉がついた状態で飾られているばかりが、クレソンではありませんよね。「白魚のトロフィエ」もそうですが、ここのお料理は、こうかなと思ったイメージを、上手に裏切ってくれるのが、おもしろいところです。
左上から時計まわりに。ダイニングの窓から見下ろした敷地内の小道。口直しの「タンカンのコンフィ」。個室。ローズが飾られたダイニング席。 |
こちらのディナーコースは、始まりのひと皿(スープとなることが多い)、前菜、パスタ2種、肉料理、口直し、ドルチェ、カフェで7,500円。今回、前菜を参考までに2種類載せていますが、ひとつは一緒に食事をした女性のオーダー品をシェアしたもの。この他、9,500円、12,000円のコースも用意。ただし、旬の食材を重視しているため、仕入れによって、メニューは順次、変更になります。
さあ、口直しの「タンカンのコンフィ」をいただいたら、次はデザート!
次ページでは、食べやすく横に作ったミルフィーユをご紹介します!