待つ男!
待って待って待ち続けるのは、いつの時代も女性? いえいえ、『大奥』のお鈴廊下ならいざ知らず、現代は、男性が待つ姿を多く見かける気がします。
そう、特にレストランのトイレでは。
それは、長方形の長いテーブルが、ドカンと真ん中に据えてあるお店に行った時のこと。その夜は、ひとつ席を空けて2名づつが、そのロングテーブルを囲んで座っていました。
この形態だと、横に並んで座るため、やっぱりほとんどがカップル。女性同士だったのは、私達ともう一組ぐらい。
そんなカップルばかりの中で、たまたま斜め前のカップルにだけ目が留まったのは、「ちょっと行ってくるね」と行った女性の声が妙にプリティだったから。
そう、ここで言う「ちょっと」とは、もちろんトイレのこと。でも、それは結果的には、「ちょっと」どころではなかったのです。
最初、笑顔で見送っていた男性も、グラスが氷だけになり、その溶けた氷もすべて飲み干し、お会計を済ませ、煙草に火をつけ、時計を見るうちに、次第にブルーに。
それでも窓があれば、たとえ見ていなくとも、外の景色に顔を向けるだけで自然な空気を装えたのでしょうが、長いテーブルを見ず知らずの皆で囲む形態だと、顔を上げたとたん、目の前の他人が目に入り、長時間だとけっこう目のやり場に困るもの。
そのため、男性はいつしか腕を組み、うつむいたまま、どんどん固まっていきました。
いっぱい食べたり飲んだりすれば、急に体調が悪くなることもあるので、こういう場合、長くトイレから戻らない女性の方も心配なのですが、結局、戻ってきた女性は、とびっきりのスマイル。時間をかけただけあり、メイクや髪は一段と華やさを増していました。
ま、カップルのことなので、どんだけ男性が待とうとも、ふたりがよければそれで万事OKなのですが、その時の力のない男性の笑顔と言ったら。本当に、磨き上げた女性の表情とは対照的で、はたから見ても、なんとなく気の毒になるほどでした。
私達も事の成り行きを、じっと観察していたわけじゃないのですが、途中から友人がトイレに行きたくなり、早く空かないかなーと思っていたため、おのずと注意が向くのは、その女性のトイレからの帰席。
一部始終を見届けて、やっぱりやり過ぎは禁物だなーという結論になりました。
自分演出の時間は、いつもほどほどが美しい!
男性をあまり待たせないことも、トイレの美徳。でも、見方を変えれば、これだけメイク直しに時間をかけられるのは、恋が上昇中の証拠。おそらく、アフターレストランも、人がうらやむほどの甘い時間を過ごされたことでしょう。
見ず知らずのカップルでしたが、新しい年もどうぞお幸せに!
【目次】
聖夜はメッキなしで勝負!
ファンデーションで見抜くその女性の本質!
トイレから出て、手を洗わないのはなぜ?
その石鹸、洗ってから使う? 使ってから洗う?
「お待たせしました」のひと言を!
その鞄、どこへ置く?
【あとがき】男女兼用トイレってどうしてる?