キウイの青臭さまで生かす、香り使い上手。
デザートは、「マセドワヌ レギューム フヌイユのクーリをアネットの香りで」。これは、キウイの上に生乳のエスプーマをのせ、アルギン酸でドロップ状にしたフヌイユをあしらったもの。
以前、「キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロ」の記事でもご紹介しましたが、フランス語のフヌイユは、英語ではフェンネル。和名では、ウイキョウと呼ばれるハーブです。
このスッキリとした甘さの上には、べっ甲飴を溶かしたような赤いとろっとしたシロップ。傍らには、ヨーグルトアイスも添えられています。
とにかくここでも思うのが、香りの使い方がとてもうまいということ。ハーブのみならず、キウイの外側の青臭さまで生かしてしまうとは。これも、組み合わせが成せる技。ひとつの食材を生かしきるかどうかは、その相手の器量によるところが、とても大きい。だから、味わいは、マリアージュ。ひと皿は、ひと皿であって、ひと皿ではないのです。
張り合う強さではなく、溶け合う強さを感じるデザート。
もうひとつのデザートは、「トルテリーニをカネル風味の栗のスープに浮かべて」。
このひと皿で印象的なのは、スープに強い味覚を持たせてあること。栗の風味が、ぼやけることなく、舌の上に迫ってきます。その秘密は、栗のハチミツ。これを加えることで、えぐみの部分を押さえることができ、栗の味わいがはっきり出てくるそう。
そのため、水分を飛ばして甘みを凝縮した、傍らの洋梨のタルトタタンといい勝負。でも、これは、張り合う強さではなく、溶け合う強さを感じる味わいです。
今回は、コース内容をランダムにお伝えしてしまったので、ここらで、ちょっと整理整頓。