東京をはじめ、各地のレストランに毎日出荷。
「落合ハーブ園」の約3,000坪の畑。15種類のハーブが植わっています。 |
「落合ハーブ園」の畑は、約3,000坪。ミント、バジル、ラベンダー、セージ、タイム、ローズマリー、マジョラムなど、15種類のハーブが、土を覆う緑の毛布さながら、長く広く続いています。
それらは東京をはじめ、各地のレストランに毎日出荷。私達が食後にフレッシュなハーブティーをいただけるのも、ここで早朝から摘み取りが行われているお陰です。
用途によって、摘み取る葉の大きさを変える。
ミントの中でもよくお菓子に使われるアップルミント。 |
でも、その葉も、どれでもいいというわけではなく、用途によって摘み取る大きさを変えているというから驚き。料理用の場合、あまり大きいとソースの味が変わりやすくなるため、ハーフサイズくらいのものを、お茶にする場合は、お湯で煮出した時、見た目も味も良くなる大きなものを選ぶのだそう。
有機・無農薬を承知しながら、葉の穴だけで返却される。
パスタソースなどでもよく使われるオレガノ。 |
でも、これらの気配りも、昔は葉に穴が空いているというだけで、注文者から突き返されることもあったそう。
有機・無農薬栽培にこだわるということは、少々の虫食いがあっても、当たり前ということ。それを承知で注文しているはずなのに、いざ到着し、穴を見つけると、それがとたんにいらないものになる。それって、本当に腑に落ちない。
きっと、それは注文者が心から有機・無農薬のハーブを欲していたと言うより、そうメニューに載せたかっただけのことなのかもしれません。そのため、以前、こちらでは無念にも、300ヘクタールもの畑をつぶしたこともあったのだそう。
人を喜ばせることが、22年のハーブ栽培の自らの喜び。
葉の表面が羽毛で覆われたようにやわらかいセージ。 |
でも、そんな価値観も、ハーブが生活の中でポピュラーになってゆくとともに、変わってきたと言います。そんな話をしてくれたのは、「落合ハーブ園」で、専務取締役兼ハーブアドバイザーを務める落合玉江さん。
「22年間、私がハーブ栽培を続けてこられたのは、人が喜ぶのを見たかったから」。
と言うのも、落合さん自身、以前はとても肌が弱く、トラブルを起こしやすかったのだそう。そこで、カモミール、タイム、ローズマリー、ゼラニウムなどのハーブティーを飲んだ際、残りを顔につけたり、お風呂に入れたりしていたところ、どんどん肌の調子が良くなっていったそう。
その経験から、本格的にハーブの勉強を始め、たくさんの人の役に立てたらと思うようになったのが、落合さんのハーブ栽培のスタートとなったのだそう。なので、今でも、「落合ハーブ園」から買った苗を活用してくれている人の話を聞くと、とても嬉しいのだそう。
やはりどんなことも、自分のためだけでは、長い月日、継続するのは、難しいことなのかもしれません。「他人あっての自分」。そんな言葉が、今ふっと頭をよぎります。
ハーブ栽培の最大の苦労は夏草にあり。
くっきりとしたグリーンのレモンバーム。お茶にすると香りは抜群です。 |
「では、ハーブ栽培で、一番大変なことは何ですか?」と聞いてみたところ、すかさず「夏草!」。確かにうちのベランダでも、ハーブを育てていますが、プランターでさえ、夏にはひょんな草が生えてくる。それが、この広い大地なら当然も当然。
「ここには、何人くらい働いている方がいらっしゃるのですか?」とおそるおそる尋ねてみたら、答えはなんと「8人」。さっき確か、畑の面積がおよそ3,000坪と言いましたよね。本当に夏の雑草取りは、気が遠くなる重労働です。
そんな中、ひとつひとつ手摘みされるハーブは、こちらの「サントリナ」というレストランのランチでも提供されています。
ご紹介します!