女性のためのグルメ情報/新オープンのレストラン

アクアヴィット 初上陸の北欧キュイジーヌ(3ページ目)

2008年10月7日、N.Y.で20年間人気を博すモダン・スカンジナヴィアン・ダイニングが、日本初上陸を果たしました! 温もりと機能性を兼ね備えた北欧のインテリアが、外苑前で心地良さを発信します。

執筆者:河野 優美

サッカープレイや美術館アートからも料理哲学を見出す。

アクアヴィット
「アクアビット」東京店の前で笑顔を見せるマーカス・サミュエルソン氏。

これだけのフレキシブルな“モダン・スカンジナヴィアン・キュイジーヌ”をあみ出すマーカス氏は、1日の中でも、さぞかし料理に費やす時間が長いのであろうと予想したところ、答えはNO。キッチンを離れ、サッカーのプレイに出かけたり、美術館に行ったりと、趣味を満喫する時間も多いのだそう。

アクアヴィット
果実の酸味をチーズが包む「アークティックサークル パッションフルーツのソースが入ったゴートチーズのパルフェ」。

でも、チームプレイを楽しむことで、それがいつしかキッチンへつながり、アートにふれることによって、また新たな料理のアイデアが沸いてくる。

そういう意味では、行動では切れ換えていても、思考回路は24時間、365日、料理のことで張り巡らされていると言っても過言ではないよう。これが、天才シェフの名をほしいままにする、マーカス氏の原動力。そして、その出発点と言える場所には、マーカス氏のおばあさまの存在があったようです。

祖母が教える地元の料理がマーカス氏の原点。

アクアヴィット
これは絶対食べるべし!苦味、甘みが濃厚とさっぱりを行き来する「チョコレートカスタードケーキ、ソルトキャラメルアイスクリーム」。

それは、エチオピア生まれのマーカス氏が、養子として迎えられた、スウェーデンのイェーテボリの家庭にいたおばあさま。このおばあさまは、スウェーデンを一歩も出たことがなく、ニシンの酢漬けや塩漬けに始まる、土地独特のたくさんの家庭料理を、マーカス氏に教えてくれたのだそう。

同時に、一緒にマッシュルームを取りに行く生活の中で、食材の選び方、大切さも自然と身についていったそう。そのおばあさまの影響で、料理の世界に目覚めたマーカス氏は、スイス、オーストリア、フランスで修行を積み、アメリカへ。

25才の若さで「アクアヴィット」のエグゼクティブシェフに任命され、その3ケ月後には、ニューヨークタイムズのレビューで三つ星の評価を受け、最年少シェフとして紹介されました。

アクアヴィット
ラストまで気を抜かない気配りを感じる、小菓子「ジンジャークッキー、マドレーヌ、生チョコ、ペッシュゼリー」。

でも、そこからの20年、グルメなニューヨーカー達の間でずっと人気を博すのは、並大抵の努力ではないはず。マーカス氏は言います。「僕が20年間続けているのは、いろんな国の人が持つメンタリティーをシャットアウトしないこと」。

人種のるつぼのN.Y.。異質なものを排除するのではなく、多様な心を受け入れるキャパがなければ、その先の前進は有り得ないのかもしれません。そして今、その道の一番先端に東京店がある。

誰かが何かを託したくなる成功の要素。

アクアヴィット
二ツ星「ムーラン・ド・マルクーズ」で修行した、津留見和彦シェフ。誠実な人柄は、その料理にも反映しています。

その3号店である東京の店舗をマーカス氏からスキルが高いと絶大な信頼を得て、任されたのが、フランスの二ツ星「ムーラン・ド・マルクーズ」で修行し、東京の歴史ある会員制レストラン「センチュリーコート」や、六本木ヒルズにある「イル・ムリーノ ニューヨーク」で腕をふるっていた津留見シェフ。

たったひとつのマヨネーズ選ぶにも、自分の思い描く味に出会うまで、20もの種類を試すその姿勢は、マーカス氏でなくても、何かを託したくなる成功の要素を兼ね備えているのでしょう。

アクアヴィット
オープン前、天井まであるワインセラーを、忙しそうに行き来するスタッフ。

そんな津留見シェフへの期待は、マーカス氏のこの言葉からも容易に感じ取ることができます。「オープンしてすぐよりも、オープン後、3、4ケ月経った後、来て下さるリピートゲストの反応が楽しみ」と。料理がどんどん進化してゆく先を見据えているのですよね。

「何かを成功させようと思ったら、どこの国にいても、人一倍の努力はつきもの。僕もスイスでの修行時、打ち合わせはドイツ語で、メニューはフランス語という、料理を作る以外の言葉の壁に苦労したこともあった。でも、それは人より2時間早く店に出て、人より2時間遅くまで働くことで越えてきた。その時、どんなにマイナスだと思った要因も、あとになれば、すべてプラスになる。努力は、自分のプラスを作ること」。

そんなマーカス氏のもとへ、同じ頃来日していたN.Y.の「ユニオン・スクエア・カフェ(東京店は、ユニオン・スクエア・トウキョウ)」オーナー、ダニー・マイヤー氏が激励に訪れたそうです。二人のカリスマの熱く固い握手、目に浮かぶようです。

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N.Y.よりレストラン界の二大スターが来日!

アクアヴィット
「アクアヴィット」東京店の入口。
<店舗データ>
AQUAVIT(アクアヴィット)
所在地:港区北青山2-5-8 青山OM-SQUARE1F
TEL:03-5413-3300
営業時間
ランチ :11:30~14:00(LO)
前菜、メイン2品のプリフィックス 4,700円
前菜、メイン、デザート3品のプリフィックス 5,900円 
ディナー:18:00~22:00(LO)
前菜、メイン、デザート3品のプリフィックス 9,250円 
定休日 :年中無休
禁煙
銀座線外苑前駅4b出口より直結 ビル敷地内
地図:Yahoo!地図情報

アクアヴィット
オープン前、バーでお酒の確認に余念がないスタッフ。
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■近辺のおいしいスイーツ
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ダイニングカフェ Indigo

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