女性のためのグルメ情報/新オープンのレストラン

アクアヴィット 初上陸の北欧キュイジーヌ(2ページ目)

2008年10月7日、N.Y.で20年間人気を博すモダン・スカンジナヴィアン・ダイニングが、日本初上陸を果たしました! 温もりと機能性を兼ね備えた北欧のインテリアが、外苑前で心地良さを発信します。

執筆者:河野 優美

N.Y.の奇抜さを意識した、アクアヴィットの東京カラー。

アクアヴィット
2種類でひと皿の前菜。「フォアグラガナッシュフォアグラのフォンダン ドライドダックチップ アップルコンポート」。シナモン、ジンジャー、クローブの香りがあとから出てきます。

ここ「アクアヴィット」で出される“モダン・スカンジナヴィアン・キュイジーヌ”とは、北欧の伝統料理にフレンチのテクニックを融合させた最先端のひと皿。

N.Y.の奇抜さを意識しつつも、お醤油など日本ならではの食材も使うことで、東京ならではの「アクアヴィット」カラーを完成させています。

アクアヴィットアクアヴィット
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左からみぎまわりに:裏にマーカス氏のサインが彫られた木製のウェルカムプレート、アミューズの「チーズタルトとサーモンムース」、マーカス氏のサイン、料理には臭みのないスウェーデンのナチュラルチーズを使用。

では、そのベースとなる北欧の伝統料理とは、どういうものなのでしょう? 
マーカス氏は言います。「スウェーデンは、スカンジナヴィア半島に突き出た島国。他国からの影響を受けることが少ない。ニシンの酢漬けやサーモンプリンなど、自国の中だけで育ってきた料理も多い。その素朴さ、シンプルさは、和食と似ている。だから、日本の食材であるお醤油も合う。つまり、日本の食材だったからお醤油を使うわけではなく、料理に合うからお醤油を使う。それができるのが、北欧の伝統料理」。

甘味、酸味、塩味でミクロなアミューズにも存在感。

アクアヴィット
りんごのピクルスのかつら剥きで巻いた「ロブスターロールリンゴのピクルスで巻いたロブスターとシイタケのタルタル マス子とベーコン、エッグドレッシング」。甘酸っぱさに塩味が加わり絶妙です。これは、傍らのレモンのゼリーとセットでひと皿の前菜。

そんなマーカス氏が提唱する、“モダン・スカンジナヴィアン・キュイジーヌ”は、甘味、酸味、塩味をバランス良く使っているのが特徴。それだけに味にボケ感がなく、かなりミクロなアミューズでもひと口が印象に残ります。

でも、そのために苦労するのが、調味料の調達。たとえば、イタリアンならバルサミコ、フレンチならケッパーを使うように、スウェーデンのビネガーやマヨネーズを日本で使いたいと思うのは、キッチンの自然な成り行き。

でも、そんな思いに大きく立ちはだかるのが、それらが輸入できない事実。ならば、どうすれば、本場に近い味が出せるのか。そんな試行錯誤の上、たどり着いたのが、酸味なら、日本の米酢です。

そんな話をしてくれたのは、「アクアヴィット」東京店を任された、津留見和彦シェフ。N.Y.店でマーカス氏から“モダン・スカンジナヴィアン・キュイジーヌ”の基本姿勢を学び、その独創性を今、開花させます。

セロリを使う時は、あえて根セロリを選ぶ。

アクアヴィット
約10種類から選ぶプリフィクスのメイン「ワンサイドソテーサーモン ノルウェー産サーモンのソテー ローストビーツ レモンソース」。

津留見シェフいわく、「スウェーデンは、バルト海に面しているため、シーフードがよく捕れる国。でも、その寒さゆえ、野菜は少ない。その中でもよく見かけるのが、根野菜。なので、料理に入れる時は、セロリならあえて根セロリを選ぶなど、調味料以外でも本国に習う工夫をしています」。

その代表例が、「ワンサイドソテーサーモン ノルウェー産サーモンのソテー ローストビーツ レモンソース」。これは、シート状にしたジャガイモに、片面だけ焼いたサーモンをのせ、ビーツとつるむらさきでポップな印象に仕上げたもの。

アクアヴィットアクアヴィット
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左から右回りに:ダイニングの窓側席、メインの口直しで出たまろやかな酸味の「ラズベリーヨーグルト」、焼酎漬けの果実が飾られたバーカウンター、半個室席。

通常、この手のひと皿は、その美しいビジュアルを崩し、どんどんソースなどとからめながらいただきたいものですが、ここではその逆。できればひとつひとつのパーツを堪能したい気分にもかられます。

でも、それがあながち、間違いではないと思ったのは、このひと皿の中に特においしい部分を発見したから。それは、ジャガイモとサーモンが重なる境目。ここはここだけで食べたいほど、ジャガイモのシートにたっぷりふられた塩が、大味のサーモンを目覚めさせ、レアな食感を息づかせます。

正直、メインがサーモンと聞いた時、贅沢にも、もっと普段なかなか食べられない魚の方がよかったなと思ったのですが、この味と演出なら大満足。つるむらさきの軽いぬめりも、キュイジーヌとしての意表を突き、遊び心でいっぱいでした。

見た目はワイルドでも、臭みがなくやわらか。

アクアヴィット
「ヴェニスンロイン塩漬けにした」ハムを巻いた鹿肉のロースト ポテトダンプリングと鹿ジャーキー リンゴンベリーソース」。鴨胸肉、リブアイ、仔羊などもメニューアップされています。

お肉のメインの一例は、「ヴェニスンロイン塩漬けにした」ハムを巻いた鹿肉のロースト ポテトダンプリングと鹿ジャーキー リンゴンベリーソース」。鹿肉とあり、アートな盛り付けに魅了されるも、牛肉や豚肉にはない、ワイルドなどす黒い赤身が、ギンと目につくひと品。

でも、食べてみると、臭みはなく、その食感もまるで仔牛のよう。これは、血が強い北半球の鹿を避け、あえて南半球(ニュージーランド)にこだわっってローストした結果だそう。まわりに巻かれた塩漬けの牛肉も、味を香ばしく引き締めます。

でも、鹿肉のお楽しみは、もうひとつ。それは傍らのジャガイモのニョッキとホースラディッシュの上。そこには、4週間もかけて作ったという鹿肉のドライとスモーク、ローストの3種類。さりげなくのせられてはいるけれど、まるでさりげなくないトリュフのような存在感です。

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次ページでは、お待ちかね!目をほころばせる美しきデザートとスターシェフの素顔をご紹介します!
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