銀座に初上陸したカリフォルニアレストランの試作会。
閉店したレストランのキッチンを借りて、新店の試作品を作る吉田シェフ。 |
高々と炎を上げる厨房。久々に活気が戻ったキッチンに、眠っていた空気が動き始める。ここは、2008年3月に閉店した某レストランの店内。昼も夜も真っ暗だったこの空間を、1日だけ借り開け、お料理の試作会が行われたのは、とある4月の夜でした。
「シルベラード」の正式メニューとなる試作品が並ぶキッチン。 |
この試作会は、2008年5月10日グランドオープンの「シルベラード」のためのもの。カリフォルニアの「TERRA」「AME」でミシュランをはじめ、数々の賞を獲得する、オーナーシェフ・ヒロ・ソネが料理監修するカリフォルニアレストランです。
この新店のメニューは、海の向こうから送信されたヒロ・ソネのレシピ。それを、「シルベラード」のキッチンを預かる吉田健志シェフが、試行錯誤を重ね、試作品に起こしました。今回は、そのひと皿の値段が適当かどうか、お料理のイメージはこのままでいいかなど、細部のチェックを行うため、オーナー、支配人をはじめ、関係者一同が集まりました。
白熱する意見交換が、試作品の魅力を上げる。
左:試作品。 | 右:オープン後の仕上がり。 |
そこでいただいたひと品が、「リガトーニパスタ、5時間煮込んだ豚のスーゴ、群馬県、高崎産舞茸とペコリーノチーズ添え」。試作品の段階で出てきた意見は、パスタが少し固め、印象が全体的に地味、緑のアクセントがほしいなど。その一方で、じっくりと煮込まれた豚のスーゴのおいしいは、一同の感嘆を誘いました。
もともとリガトーニはボイルに時間がかかるため、急ぐとどうしても固めになりがち。そんなリガトーニを、オープン後、限られた時間の中で、どのくらいオーダーを取れるものか、シェフとサービススタッフがオペレーションの相談をする場面も見られました。
試作品から好評だった「仔羊の香草焼き」。
左:試作品。 | 右:オープン後の仕上がり。 |
また、「仔羊の香草焼き、初夏野菜のラタトゥイユ、フンムス、タブーリ、ライタ添え」は、試作品から好評だったひと品。ヨーグルトやミント、クミン、ひよこ豆などを使った3つのソースが、甘い、さっぱり、辛いなどの変化で、お肉を最後まで飽きさせないというのが、一同の一致した感想です。
最も白熱したロブスター料理の意見交換。
試作品の「十和田湖産さくら鱒の自家製燻製」。 | 試作品の「メインロブスターのロースト」。 |
この他にも、「メインロブスターのロースト、あさりのチャウダー風味、新じゃが添え」、「スズキの炭焼き、筍とひとめぼれ米のリゾット、木の芽と岩海苔風味」、「十和田湖産さくら鱒の自家製燻製、オルガニックのサラダ、ユダヤ風じゃが芋のパンケーキ、サワークリームと鱒子添え」、「リ・ド・ボー、木の子、プロシュートのかるい煮込み、白トリュフ風味」など、意見が交わされたお料理は多数。
特にロブスターは、ロブスターをチャウダーインにするならポーションが少し小さい、サイドはチャウダーよりミネストローネの方がいい、いやいや、ガスパチョの方がいい、それよりサイドにロブスターの殻は置かなくてもいいのでは、いやいや、置いた方がお皿に華やかさが出ていいなど、かなり白熱した空気になりました。
カリフォルニアでミシュラン獲得のヒロ・ソネが料理監修。
お料理を囲んで意見交換する関係者。 |
これらの意見を真摯に聞き入れ、再度仕上げに挑む吉田シェフ。「今日の試作品の出来栄えは70点。残りの30点は、ヒロ・ソネのイメージ通りに仕上がっているかどうか。それがわかるのは、ヒロ・ソネが来日してからです」。
さあ、ヒロ・ソネの判定はいかに!
次ページでは、今日、最高とも言える「シルベラード」のディナーコースをご紹介します!